肥満、虫歯、視力1.0未満の子ども 北海道、なぜ多い?

写真はイメージ(mits / PIXTA)

北海道の子どもの太り気味の傾向が続いています。全国的な調査で長年、肥満傾向がある子どもの割合が全国平均を上回っているのです。裸眼視力が1.0未満や虫歯がある子どもの割合も同じように全国を上回っています。なぜでしょうか。(報道センター 高田かすみ)

全国的な調査とは学校保健統計調査というものです。

学校保健統計調査

学校保健統計調査 国公私立の幼稚園や小中高校で実施が義務付けられている健康診断の結果をまとめた調査。発育や健康状態を把握する目的で1948年度から毎年度実施している。身長や体重のほか、鼻や耳の病気、虫歯、アトピー性皮膚炎がある割合も調べる。今回は、健康状態については全児童生徒の25%に当たる約333万人分を集計した(北海道の対象人数は健康状態についてが8万2591人、発育に関しては1万7661人)。

10歳は全国で最多

学校保健統計調査は、身長別標準体重などから算出した肥満度が20%以上の子どもを「肥満傾向児」と定義しています。2021年度の調査(速報)によると、北海道の肥満傾向がある子どもの割合は、前年度に続き対象の全年齢(5~17歳)で全国平均を上回りました。

北海道の肥満傾向がある子どもの割合を学年別で見ると、10歳が15.92%と、全国平均を4.96ポイント上回り、都道府県別で最多となりました。8歳(12.26%)、9歳(15.02%)、13歳(12.78%)、15歳(14.46%)は全国で3番目多い結果となりました。男女別で見ると5、6歳を除き男子の方が高く、男子で最も高かったのは10歳で18.70%(全国12.58%)、女子が11歳で13.34%(同9.42%)でした。

肥満傾向児の割合

北海道の肥満傾向児の割合は20、21年度に加え、18年度までも5年連続で全年齢で全国平均を上回るなど、高い水準で推移しています。

新型コロナウイルスによる一斉休校のあった20年度に悪化した太りすぎの割合が、21年度は全国的に減少傾向となりました。文部科学省は、新型コロナにより、家に閉じこもって生活リズムが乱れるような状況が改善しつつあるとみています。北海道でも6、7、8、14、17歳で肥満傾向児の割合は減少しましたが、全国を上回る傾向は変わりませんでした。

肥満傾向児の割合の推移(10歳)

※調査は例年4~6月の実施ですが、21年度調査は、新型コロナウイルスの影響で、年度末まで延長したため、文科省はこれまでの調査との単純比較は難しいとしています。

視力については、小学生(6~11歳)のみ結果が公表されました。授業でのデジタル端末活用が広がる中、子どもたちの視力低下は課題になっています。北海道、全国のいずれも年齢が上がるにつれて増加する傾向にあり、文科省は「スマートフォンなどの利用で、目に近い距離での作業が増えたことが影響した」としています。北海道の視力1.0未満の子どもは43.3%と、全国平均を6.4ポイント上回りました。全年齢で全国平均を上回りました。

視力1.0未満の子どもの割合

授業でのデジタル端末導入の動きは今後、さらに加速します。文部科学省は、2024年度から小学5年~中学3年の英語でデジタル教科書を先行導入する方針を、8月25日の中教審の作業部会に示し、大筋で了承されました。25年度には算数・数学で導入することも確認し、当面は紙の教科書を併用することとしました。視力低下への懸念や、電子機器の扱いに不慣れな教員の指導力向上などの課題があり、現場の混乱を避けるため、紙の廃止は見送りました。文科省は、教科や学年を絞って段階的に進める方針で、当初は小4以下を対象から除きます。他教科の扱いなど中長期的な方向性については、先行導入の効果や問題点を踏まえて検討するとしています。

デジタルで教科書を学ぶ子ども(文部科学省提供)

デジタルで教科書を学ぶ子ども(文部科学省提供)

虫歯(処置完了を含む)がある子どもは、小学生で47.4%、中学生(12~14歳)で43.6%、高校生(15~17歳)で52.1%でした。ぜんそく、アトピー性皮膚炎の子どもの割合も全ての年齢で全国を上回りました。

肥満傾向の高止まりなど、北海道の子どもの発育状況の背景には何があるのでしょうか。

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