コロナ第7波 小児外来患者急増 夏迎え手足口病・RSウイルスも 医師「受診控えしないで」

子どもを診療するめばえこどもクリニックの有岡秀樹院長=札幌市北区(野沢俊介撮影)

新型コロナウイルスの感染「第7波」が拡大する中、新規感染者に占める10代以下の割合が3割に達し、子どもの感染が広がっている。手足口病の患者数が小樽市などで警報レベルに達するなど、手足口病やRSウイルスといった夏場に流行しやすい感染症も増加。コロナ禍で小児科外来患者の急増を引き起こしている。多くで発熱があり、症状だけで見分けるのは難しく、診療現場の負担は増す一方だ。小児科医は「重症化を避けるため、受診控えはしないで」と呼びかけている。

「ひっきりなしに患者が訪れて大変だった」。7月24日、小児科の休日当番だっためばえこどもクリニック(札幌市北区)の有岡秀樹院長(67)は振り返る。午前9時の診療開始から患者が相次ぎ訪れた。

午後5時の終了までに来院したのは、クリニックの1日の診療可能人数100人に迫る計93人。このうち70人以上に発熱症状があり、口内に発疹ができる手足口病の感染が目立った。コロナ陽性者も14人いた。

有岡院長は「コロナを前提とした診療は感染防止を徹底するため時間もかかり、1日で診療できる人数は限られる」と話す。今後も増加が続けば診療を断らざるを得ない恐れもある。

同日に同じ小児科の当番だった勤医協札幌病院(札幌市白石区)の受診者は約130人。PCR検査は最大3時間待ちとなった。

道によると、コロナの新規感染者のうち、10代以下の割合は今年1月からの「第6波」以降、急増している。第5波のピーク時(昨年8月)は14.6%だったが、第6波のピーク時(2月上旬)では34.9%に上昇。7月からの第7波でも7月上旬に34.7%となるなど、3割前後の高い水準が続く。

道感染症情報センター(札幌)によると、RSウイルス感染症は5月末から7週連続、手足口病は6月上旬から6週連続でそれぞれ患者が増えている。特に手足口病は、小樽市保健所管内で1定点医療機関当たりの患者数が警報基準(5人)を大きく上回る34.33人(7月18~24日)に達した。同期間に岩内保健所管内で10人、俱知安保健所管内では6.5人に上った。

小樽市のつだ小児科では7月以降、外来患者が倍増した。津田哲哉院長(75)は「発熱のある場合が多く、コロナを疑いながら診るしかない」と話す。

外出自粛が長引いた影響で、子どものウイルスへの免疫が下がり、感染症にかかりやすくなっている恐れも指摘されている。国立病院機構北海道医療センター(札幌市西区)で小児科も受け持つ長尾雅悦院長(63)は「子どもの免疫が低下したことで、保育園などを介して感染が広がっている可能性はある」とみる。

子どもの夏の感染症は症状が急変し、細気管支炎や肺炎になることもある。長尾院長は「感染を広げないことが大切で、発熱したら保育園を休ませるなどの対応が必要」とした上で「食欲が低下し、ゼリーなども食べられないようなら脱水症状につながりかねず、ためらうことなく受診してほしい」と呼びかけている。(高木緑)

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