フッ化物洗口、石狩管内小学校で広がる 5市町村導入、札幌市は24年にも

石狩管内の自治体で、虫歯予防のためフッ化物を含んだ液体で口をすすぐ「フッ化物洗口」を小学校で導入する動きが広がっている。管内8市町村のうち小学校で導入済みは5市町村で、札幌市も早ければ2024年に始める。導入自治体では「虫歯が減った」と効果の声がある一方、誤飲などを懸念する声もあり、学校側も子どもたちに強制しないなど配慮しながら対応している。

虫歯減に効果/強制しない配慮も

フッ化物洗口は週1回程度、水で濃度を薄めたフッ素入りの液体でうがいをして虫歯を防ぐ。石狩管内では、道が「北海道歯・口腔(こうくう)の健康づくり8020推進条例」を2009年に制定して以降、導入自治体が増え、恵庭市、千歳市、北広島市、当別町、新篠津村が小学校で導入済み。石狩市は一部の認定こども園などで実績があるものの、小学校では実施していない。

札幌市議会でも議員提案の市歯科口腔(こうくう)保健推進条例案が6日に可決された。同市は早ければ24年度施行の生涯歯科口腔保健推進計画「さっぽろ8020推進プラン」に、フッ化物洗口の推進を盛り込むもようだ。

文科省の学校保健統計調査によると、道内の12歳の平均虫歯本数は、13年度の1.8本から20年度には1.0本に減少。道地域保健課は「道の条例施行以降、フッ化物洗口導入自治体が増えたため」とみており、管内の導入自治体も「一定の効果はあった」とする。

導入を巡っては賛否両論がある。

札幌市で条例を制定しないよう陳情を提出した「札幌子どもの健康を考える会」で代表を務める荻原敏子さん(73)=札幌市東区=は「学校教諭の負担増につながるだけで、虫歯の改善につながるかは疑問だ。もっと長期的な調査、検証を終えてからでも導入は遅くない」と話す。一方、北海道医療大の千葉逸朗名誉教授(口腔衛生学)は「国内で(誤飲や過剰摂取による)フッ化物洗口が原因の中毒は発生していない。歯の健康のため導入すべきだ」と訴える。

導入自治体も不安を抱く保護者らに配慮して対応には注意を払っている。恵庭市は地元の薬剤師会が適切な濃度にしたものを各校に配送している。当別町は毎年、保護者に意向調査を行い、「強制はしていない」(同町)。同じく意向調査を行う北広島市も「参加しない子どもには、代わりに水入りの紙コップを渡している」という。

札幌市幹部は「具体的な取り組みはこれから議論するが、反対する人がいることも踏まえ、丁寧に議論していきたい」と話した。

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