遠方の親族に相談できないコロナ禍が背景? 北広島市の産後ケア事業好調

利用が好調な「産後ケア事業」を紹介するチラシ

【北広島】出産後の母親らが助産院などで育児相談できる市の「産後ケア事業」の利用が好調だ。本年度は7月末時点で延べ47人と、昨年度の51人に迫る勢い。新型コロナウイルスの感染拡大で、離れて暮らす親族の援助を受けにくいことなどが背景にあるとみられる。ニーズがあるとみて、市は年明けにも制度を拡充する考え。

利用延べ47人 既に昨年度並み 年明けにも制度拡充へ

産後ケア事業は、生後4カ月未満の子どもを持つ母親を対象に、授乳や沐浴(もくよく)などをアドバイスしたり、休息してもらったりする狙いがある。母親やその家族が利用でき、市の指定する主に札幌の助産院に申し込めば、自己負担額が通常料金より割安になる。

現在は《1》4時間程度の「日帰り」《2》1泊2日の「宿泊」―の2種類のプランを用意し、2020年3月から事業を開始。利用は20年度が宿泊37人、日帰り14人だった。21年度は4~6月の3カ月で既に宿泊43人、日帰り4人と伸びている。市の担当者は「コロナ禍で里帰りできず、親族などに相談しづらいことも一因では」とみる。

北広島市の産後ケア事業

5~6月に3度利用した西の里地区の北川おり絵さん(34)も、道内の遠方にいる両親宅への帰省は新型コロナの流行で避けた。「助産院に行くと寝かしつけや子どもとの遊び方も分かるし、乳幼児用の体重計で、どれくらい母乳を飲んだか分かるのもありがたかった」。現在6カ月の長男と、「また使いたいくらい」と制度を評価している。

利用者から好評なのを受け、市は新たに助産師が1~2時間程度、自宅を訪れる「訪問型」も年明けに始める考え。委託費など約123万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を、開会中の定例市議会に提出した。

夜泣きなどで24時間続く子育てに、心身の体調を崩す母親も多いという。市の委託先の一つ、産前産後ケアハウス「里の森ムンメル」(西の里)の上野美枝子院長は「『息抜きしたい』という理由での相談は多い。母親が一人で悩まず、さらに気軽に頼れる制度になってほしい」と期待した。(後藤耕作)

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