• ネットで仕事を請け負い 自営型テレワーク、育児と両立で

    受注した名刺デザインの仕事に、自宅の居間で取り組む正田美紀子さん
    会社に雇用されず、個人事業主として自宅などでインターネットを介して仕事を請け負う「自営型テレワーク」への関心が、子育て中の女性を中心にじわりと高まっています。働く場所と時間を自由に選べ、育児と両立しやすい利点があるためです。一方で、安定的な収入を得るのは容易ではなく、詐欺的な手口に注意も必要です。

    場所、時間が自由 「得意」活用

    「あなたにお願いして良かった、と喜ばれるのがやりがいです」。9歳、7歳、4歳の3人の子どもを育てる札幌市白石区の正田美紀子さん(40)は、昨年6月、個人のスキル(得意なこと)を売買できるプラットフォーム「ココナラ」に登録しました。デザインを独学で習得し、ココナラを介して、チラシや名刺、広告用のサムネイル画像などの制作を個人や企業から受注しています。

    正田さんが自分のスキルを出品している「ココナラ」
    正田さんが自分のスキルを出品している「ココナラ」

    平日の週4日はパートで働き、早朝とパートのない水曜を在宅の作業にあてています。収入は受注数によってばらつきはありますが、家族の外食や趣味の費用に使っています。

    子どもたちの帰宅時間に家にいられ、子どもが病気の時にも融通が利きます。「家にいながらさまざまな顧客とやりとりでき、世界が広がった」と手応えを語っています。

    こうした働き方は「自営型テレワーク」と呼ばれています。厚生労働省の「自営型テレワーカーのためのハンドブック」によると、受注する業務内容はウェブサイト制作やデータ入力、ライティング、翻訳など多岐にわたります。

    自営型テレワークの業務内容の例

    収入不安定 悪徳業者に注意

    雇用によらない働き方を選ぶ人は増えているとする調査もあります。ランサーズ(東京)が昨年3月に発表した「フリーランス実態調査2021」では、副業・兼業を含む業務委託で仕事をする全国のフリーランス数を前年比6割増の1670万人と推計しています。このうち特定の勤務先がない人は前年比250万人増の308万人で、その3割は主夫または主婦だといいます。

    関心の高まりを受け、母親の就労や子育ての相談を受ける札幌市の相談窓口「ここシェルジュSAPPORO」は、昨年5月から自営型テレワークについて相談を受ける「宅ママコーナー」を週に1度設置しています。同12月末までに38人の女性が相談に訪れた。窓口担当者の佐々木高明さん(49)は「出勤中の新型コロナの感染リスクもあり、家でできる仕事へのニーズが高まっているようです」と話しています。

    半面、毎月一定額の給料を得る働き方と違い、自営型テレワークは受注数によっては月収がかなり少なくなることもあります。小遣い稼ぎにはよくても、安定収入に結びつけるのは難しそうです。

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    また、自営型テレワークの仕事を見つけるには、ココナラなどの仲介業者に登録するほか、求人広告や知人、以前の勤め先からの紹介など、さまざまな方法があります。ただ、ネット上の広告には「在宅で高収入!」などと強調し、仕事の斡旋(あっせん)を約束する代わりに研修や教材費として高額な金額を要求する悪徳業者もあります。

    厚生労働省による自営型テレワークを支援するウェブサイト「ホームワーカーズウェブ」ではインターネットで『会社名』『在宅』『評判』などとキーワードを入力して検索するなどして、信頼できる業者か情報収集する必要があると呼びかけています。

    経験洗い出し、まず実践を

    自営型テレワークに関心があるが、何から始めたらよいのでしょうか。札幌市の相談窓口「ここシェルジュSAPPORO」の「宅ママコーナー」で相談員をするITコンサルタント、関聖二さん(39)に聞きました。

    関聖二さん
    関聖二さん

    まず人生経験の洗い出しをしてみましょう。出産でキャリアを中断した方の中には、「ブランク」があると引け目に思う人も多い。でも、前職での経験や育児の苦労など、自分にとっては当たり前のことが誰かの役に立つかもしれない。

    その上でどんな働き方をしたいか考えます。もし興味があるなら、ネットで仕事を受発注できるサイト「クラウドワークス」や「ランサーズ」などに登録してみては。200種類ほどの仕事の種類から、自分の興味のある10種ほどに絞ってみます。

    ライティングなど、特に資格のいらないものも多い。まずは始めてみて、やりながら覚える。経験値を上げていくことが大切です。

    さらに、積み上げた仕事の実績をもとに、SNSなどで発信し、直接個人や企業から仕事を取得していくことも可能です。

    取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)

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