午前に5時間授業で集中力 中札内・上札内小、本年度から試験導入

午前5時間制で授業を受ける上札内小の児童

午前5時間制で授業を受ける上札内小の児童

【中札内】上札内小は本年度から、休み時間などを短縮し午前中に授業を5時間目まで行う「午前5時間制」を試験的に行っている。全道でも珍しい取り組みで、基礎学力の定着を図るため集中力がある午前中に多くの授業を行う狙いがある。下校時間が早まることで教員も放課後にゆとりを持つことができ、授業の質向上や働き方改革にもつながっている。

学力アップ期待 教員にもゆとり

同制度でも朝の登校時間や、1コマの授業時間(45分間)は変わらない。朝学習(15分間)をなくしたり、給食の開始を15分遅くしたりすることで、午前中に5時間目までできるようにした。3~6年生が今春から週1日、10月からは全学年で週2日実施している。

課題は、授業が詰め込み気味になることだ。例えば4時間目と5時間目の間には休み時間を設けず、2コマ連続、90分間授業を行う。全校児童16人の同校は複式学級で、1人の教員が二つの学年の授業を行うため、教員の負担も増す。

タイムテーブル

一方、朝の会・帰りの会を5分短縮したり、帰りの清掃をなくすなどメリハリをつける工夫もある。1、2年生は午後の授業はないが、あえて全校児童で昼休みを楽しんだ後、下校することにした。3年生以上は午後に6時間目の授業を受け、午後2時半に帰宅。全員が通常より約1時間早く下校できる。

制度導入は、4月に着任した島田諭校長が発案した。上札内小でも前任校でも「午後は眠くて集中できない」という児童の声を度々聞いたため、「それなら午前中に授業をやってしまおう」と考えた。

児童の反応はおおむね好評だ。児童会長の三浦紡子(よりこ)さん(6年)は「午前中の方が頭がスッキリしていて、勉強に集中できる」と話す。給食が遅くなるため「5時間目はおなかが空く」と笑うが、帰宅後には習い事や趣味にかける時間が増えたという。「勉強以外のやりたいことがたくさんできてうれしい」と喜ぶ。

教員にとっても放課後に時間の余裕ができ、じっくり授業の準備ができるようになった点はメリットだ。島田校長は「授業の質が向上し、児童の学力アップにつながってほしい」と期待する。午前5時間制の日数を来年度以降さらに増やすかは、児童の声も参考にして慎重に検討するという。

今年はコロナ禍による臨時休校の影響で、授業時数の確保が課題となっている。同校の取り組みは、授業時数を確保する方法としても参考になりそうだ。

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