旭川に実在「ミッキーマウス公園」 1979年に建設、由来分からず 他にもピノキオ、ピーターパン、バンビも

雪に埋もれていた神居ミッキーマウス公園の銘板(西野正史撮影)

旭川市内の住宅街に「神居ミッキーマウス公園」という小さな公園がある。米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーの超人気キャラクターの名前が、なぜ公園名に? この名前をいつ誰が何のために公園に付けたのか。探ってみた。

商標権抵触 専門家「混同しにくく可能性低い」

ミッキーマウスはディズニーを代表するキャラクターだ。短編アニメ「蒸気船ウィリー」(1928年)でデビューしたとされる。この初期の著作権が米国著作権法の保護期間95年が終了する2023年末で消滅し、インターネットで話題になる中、記者はこの公園の存在を知った。ミッキーマウスの絵が描かれた注意看板を撤去した過去もあるという。「ディズニーは著作権に厳しいのに大丈夫か」。現地を訪ねた。

神居地区にある神居ミッキーマウス公園はブランコなどの遊具が置かれた面積584平方メートルの公園だ。東京ディズニーランド(千葉県浦安市)開園の4年前、1979年に市が建設した。近くに住む会社員女性(45)は「子どものころによく遊んだ」と振り返るが、「なぜこの名前なのかは分からない」と話した。

雪に覆われた公園付近で聞き込みをしたが、分かる人はいなかった。地元の神居むつみ町内会の大河房江会長(72)も「なんでこんな名前なのか、理由は全く知らない」と答えた。なおも食い下がる記者を「当時を知る人ももういないだろう」となだめた。

市内の公園は438カ所。さらに調べると、神居はディズニーの人気者だらけ。「神居ピノキオ公園」「神居ピーターパン公園」があった。隣の忠和地区にも「忠和バンビ公園」を見つけた。

市公園みどり課によると、公園設置の際には、地元の町内会や市民委員会に名称の意向を尋ねた上で名付ける。地区ごとにメンバーが異なるため、例えば、神楽岡、緑が丘は「虫」、永山は「植物」の名前などが入る。担当者は「神居はカタカナの名称が多いのが特徴」と説明する。キャラクター名の公園は住宅街が拡大した75~80年ごろに建設され、「子どもを喜ばせようと、当時の市民委員会が神居と忠和に似た名前を付けたのでは」と推測する。

ディズニーキャラクターの名称使用は法律に触れないのか。著作権法に詳しい骨董通り法律事務所(東京)の福井健策弁護士は「名前に著作権はない」とした上で「『遊園地』などの分野で商標登録されていれば商標権侵害に問われる可能性はある」と指摘する。商標登録はなくても、著名なキャラクターの使用などは不正競争防止法違反に問われることもある。

しかし、神居ミッキーマウス公園が東京ディズニーランド開園前から存在することや、地名の「神居」でディズニーの施設と混同しにくいことを挙げて「似ている絵が使われていなければ商標権侵害や不正競争防止法違反の可能性も低い」とみている。

国内でミッキーマウスの権利を管理するウォルト・ディズニー・ジャパン(東京)に対し、公的な公園に名前が使われていることへの見解を求めて3週間たつが、回答は得られていない。

取材・文/和泉優大(北海道新聞記者)

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