室蘭・日鋼記念病院、分娩5月末休止 周産期医療維持に懸念

産婦人科の分娩取り扱いを5月末で休止すると発表した日鋼記念病院

産婦人科の分娩取り扱いを5月末で休止すると発表した日鋼記念病院

室蘭市の日鋼記念病院(高橋弘昌院長)が産婦人科の分娩(ぶんべん)の取り扱いを5月末で休止すると発表したことを受け、市民や室蘭市医師会から、西胆振の周産期医療態勢への影響を懸念する声が出ている。休止は常勤医師の派遣終了が理由で、道によると、日鋼病院が新たに医師を確保できなければ、西胆振6市町で分娩できるのは製鉄記念室蘭病院のみになる。日鋼病院は医師確保に動いているが、現時点で再開のめどはたっていない。

医師会「大変な事態」

同病院は2001年、リスクを伴うお産などを受け入れる道の「地域周産期母子医療センター」に西胆振で唯一指定され、新生児集中治療室(NICU)など高度な設備がある。地域の周産期医療の中核で、年350~470件の分娩を取り扱い、産科手術なども100件以上行っている。

同病院は分娩休止について「(医師を派遣する)大学側の事情で派遣が6月で終了することになった。速やかに地域に公表すべきだと考えた」(広報室)と説明。医師4人を派遣している札幌医科大は北海道新聞の取材に「個別の事案については回答を差し控えたい」(病院課)としている。

発表を受け、市民に戸惑いが広がった。3年前に同病院で出産した女性(37)は「出産前後も診てくれるので頼りにしていた。『いずれ2人目を』と考えているが、出産したことのある病院の方が安心できる。いつでも安心して子どもを産むことのできる環境が、地元からなくならないようにしてほしい」と話す。

西胆振では、主に伊達と豊浦、洞爺湖、壮瞥の1市3町の出産に対応していた伊達赤十字病院が22年7月に休止している。

日鋼病院の分娩休止について室蘭市医師会の野尻秀一会長は「非常に大変な事態だ」と指摘。「道内で産婦人科医が減り、医師の派遣が難しいのはわかる。ただ、西胆振の人口規模で分娩が1カ所では、周産期をはじめとする妊婦の受け入れが不安定になるかもしれない」と懸念する。

製鉄記念室蘭病院は年300~500件の分娩を受け入れており、「対応を検討している」(経営企画課)としている。(高木乃梨子、古田裕之、犬飼裕一)

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