北見の小学校PTA 活動参加を希望制に 教員や保護者の負担軽減

落ち葉拾いの活動後、ホクホクの焼きイモをほおばる参加者=23年11月

PTA活動を保護者に強制せず、前向きな参加を促すものに―。北見市内の一部の小学校が本年度から、PTA学級委員の選抜を取りやめ、当日の参加を希望制にする「完全ボランティア制」に乗り出している。保護者からは「強制感がなく、気軽に参加できる」と声が挙がり、他の学校からも注目されている。

昨年11月中旬の午前9時ごろ。北見・高栄小の校庭に児童やその保護者ら約60人が集まり、落ち葉拾いを行っていた。PTAの環境ボランティア活動の一つ。活動後は集めた落ち葉を使い、教員やPTA役員が火をおこしたグラウンドで作った焼きイモを和気あいあいとほおばった。

同校ではこれまで、学級ごとに保護者数人を選び、環境整備や広報など役職を担って活動していた。近年は共働きの家庭が増え、主に平日に委員会の話し合いや下準備を行うPTA活動を敬遠する人も多くなり、学級委員を決める懇談会では沈黙が続き、長引くこともあったという。新型コロナウイルス禍の影響でPTA行事を中止していたのを機に、本年度、全面的に活動を見直している。

同校が取り組む完全ボランティア制は学級委員の選抜を廃止し、会長、副会長、監査などの役員7人以外については希望を募る方式に変えた。保護者は当日参加のみで、下準備のために事前に集まる必要がない。教員は4月にPTA役員が決めた年間計画を基に、行事の下準備を進め、行事ごとにメールを送り参加を募っている。

活動は親子で参加できる内容とし、焼きイモ作りなどといった遊び心をくすぐる工夫を盛り込んでいる。後藤亜希教頭は「学校側が準備を進めることで事前の会議が減り、保護者と教員お互いの負担が減った。これからのPTA活動は保護者だけでなく、子どもたちや地元住民が関わってもらい、楽しいイメージを持ってほしい」と期待する。

こうした活動は保護者から好評の声が聞かれる。落ち葉拾いに参加した男子児童の父親(42)は「PTAは大人だけが義務感で集まるイメージがあった。子どもを巻き込んだ行事だと参加しやすい」と話す。PTA役員の妻鳥洋平副会長は「参加者が2倍に増えた活動もあり、以前より盛り上がりを感じる」と手応えを語る。

北小も本年度からボランティア制を導入し、積極的に参加したい保護者が集まることで、新たな活動の提案が増えているという。同校は「行事に参加した保護者のリピート率も高くなった」と話している。(中川渚)

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