乳児用防災グッズ、白老町が配布 2児のパパ消防士が考案 非常用ミルクや哺乳瓶などリュックに詰め

白糠町が配布する「我が子リュック」と考案した長谷川さん

白老町が配布する「我が子リュック」と考案した長谷川さん

【白老】町は非常用ミルクなど乳幼児用の防災グッズを詰めた「我(わ)が子リュック」を配布している。2児の父親で白老町消防本部の消防士、長谷川秀平さん(34)が胆振東部地震の経験を機に考案した。長谷川さんは「若い世代の防災意識向上につながってほしい」と活用を願っている。

我が子リュックは非常用ミルク5缶や使い捨て哺乳瓶、非常食、生理用品など乳幼児とその親が避難する際に必要な物を入れた防災グッズ。町は昨年度から、生後約1カ月の新生児訪問の際に直接、親子に手渡している。昨年度は33セットを配布した。

考案した長谷川さんは胆振東部地震があった2018年9月6日、長男を身ごもっていた妻沙也加さん(33)と寝ていた。揺れがあってからすぐ消防署に向かい、町内を見回った。

同年12月に長男凌工(りく)ちゃん(4)が生まれ、少したったときに沙也加さんから「いま、大きな災害が起きたらあなたは職場に行くけど、私たちは二人きり。この子が使うものをリュックにまとめておいた方が良いよね」と言われた。

「はっとしたと同時に『もし次の瞬間に何か災害が起きたら』と考えると焦りました」と振り返る長谷川さん。家に大人用の非常食などは備蓄していたが、子どものことまで気が回っていなかった。

この経験を21年に消防職員が業務で感じたことを発表する「消防職員意見発表大会」の道南地区予選で話したところ、町子育て支援課から「一緒に防災リュックの中身を考えてくれませんか」と声がかかり、我が子リュックにつながった。

我が子リュックは町民からも好評で、同課によると「災害時の準備ができて安心した」「災害に対する意識付けになった」などの声が寄せられているという。

長谷川さんは、21年に長女夕莉(ゆうり)ちゃん(2)が生まれ、現在は2人の子どもに必要なおしめや着替えを詰めた自作の「我が子リュック」を自宅に備えている。

長谷川さんは「仕事などで忙しい若い世代は防災を自分事に捉えにくい。リュックを通じて家族で防災について話し合うきっかけになれば」と願っている。(斎藤雅史)

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