「ちびっこマンデー」好評 釧路・MOOアリーナ、親子に開放 昨年4月から7千人利用

新設されたチューブスライダーで遊ぶ親子

釧路フィッシャーマンズワーフMOO(錦町2)5階の多目的アリーナを、乳幼児を連れた親子に毎週月曜に無料開放する「ちびっこマンデー」が好評だ。釧路市が子育て支援策の一環で昨年4月に開設し、今年6月末までに約7千人が利用した。民間企業からの寄付を元に遊具を充実させ、市民団体が子育てイベントを開くなど、親子連れが集まる場として定着しつつある。中心部のにぎわい創出にもつながるとの期待も高まる。

昨年4月から7千人利用 中心部の活性化期待

7月下旬、多目的アリーナにはゴムボールのプールやマット、三輪車で遊ぶ大勢の親子でにぎわっていた。人気は設置されたばかりの大型滑り台「チューブスライダー」。子どもたちは高さ3メートルから勢いよく滑り降り、笑顔を見せていた。

子ども2人と訪れた市内の主婦道勧(どうかん)ちあきさん(35)は「屋外の公園は熱中症が心配なので来た。遊具がたくさんあるので長時間遊べる」と話す。釧路町のパート従業員佐藤由花さん(35)は「小さな子どもが遊べる屋内施設は近場では限られるので、とても助かっている」と笑顔で語った。

ちびっこマンデーは、子育て中の市民の声を施策に反映するため、2021年に市が設置した「子育て応援円卓会議」で生まれた。市内の屋内施設「こども遊学館」が休館日の月曜に、「子どもが安心して遊べる屋内施設がない」との声が寄せられたことがきっかけだった。

市こども育成課によると、開設から6月末までに61回行われ、7518人が利用した。内訳は乳幼児と保護者が半々で、毎回100人前後が訪れる。MOOの駐車場は通常30分110円かかるが、マンデー利用者は同施設で500円の買い物をすると3時間無料で使える。午前9時から午後3時半までの利用時間を通して過ごす親子もいるという。

マンデーをきっかけに、中心部に出る人の流れもできはじめている。昨年11月には施設内で「くしろ子育て応援フェスティバル」(実行委主催)が開かれた。着なくなった子供服を集めた「おさがり交換」のほか、釧路短大生による子ども縁日など、さまざまな団体のブースが出展し、約900人が参加した。実行委員長を務めた市内の子育て団体「くしろ子育てネットワークHaport」の伊藤美也子代表(46)は「初めて訪れたという人も多く、手応えを感じた」と話す。次回は11月に開催予定だ。

イベントに参加した親子やスタッフが、食事や買い物などで利用した店舗も多く、伊藤さんは「街中に子育て世代が出てくるきっかけにもなる」と期待する。 子育て世代にマンデーが浸透しつつあることを踏まえた市の施策も始まった。路線バスの利用を増やそうと、8月1日からバスに乗車した乳幼児連れの保護者に証明券を発行。持参してマンデーに参加すると、MOO内の駄菓子店で使える100円分のおかし引換券と交換できる。市都市経営課は「人気のマンデー効果で、バス乗車も増えれば」と期待する。

一方で課題もある。9月以降に新たな遊具の購入分で、民間企業からの寄付金は底をつく見通しで、今後の資金調達のめどは立っていない。 母親たちからは、職員が利用の受付窓口にしかいないため、遊具の使用状況を見守る職員や、子育て相談ができる職員を配置してほしいとの要望もある。

道文教大の吉岡亜希子教授(社会教育学)は「子どもの遊び場だけでなく、親への育児支援や教育相談の場にする視点が重要。マンデーに合わせて、さまざまな声を聞きながら地域社会全体で子育ての環境を整えてほしい」と話している。(田鍋里奈)

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