石狩市、不妊治療に独自助成 保険適用後の体外受精など 管内初、1回最大5万円

【石狩】市は7月、不妊治療を受ける43歳未満の市民に対し、独自の治療費助成を始めた。2022年度から公的医療保険が適用された、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療が対象。1回の治療につき最大5万円を、最大6回受けられる。保険適用後も大きな自己負担額を軽減し、少子化対策につなげる考え。市によると、保険適用後に助成制度を設けたのは石狩管内で初めて。

助成内容は、新たに卵子や精子を採取し、体外受精や顕微授精する場合が5万円。以前に凍結した受精卵を使って治療する場合が2万5千円。助成の申請に必要な医療機関の証明書発行手数料は全額補助する。

40歳未満は1人の子どもができるまでに6回まで、40歳以上43歳未満は同3回まで助成を受けられる。2人目以降の子どもについても同様。申請日に夫婦のいずれかの住民票が市にあり、市税などの滞納がないことが条件。事実婚のカップルも対象。14日に受け付けを始めた。

体外受精や顕微授精は1回の治療につき3カ月~半年程度の期間と、計40万~60万円の費用がかかるとされる。22年度の保険適用拡大でいずれも3割の自己負担となったが、自己負担額に上限を設ける高額療養費制度を利用しても、多くの人は月によっては5万~8万円かかる。

市保健推進課によると、不妊治療を受ける市民から「保険適用後も負担が大きい」との声があった。同課の富木浩司課長は「不妊治療をした人の約半分が出産したという国の調査結果もあり、治療自体は効果が見込める。助成が治療のきっかけになれば」と話す。

市は不妊治療の助成について、21年度まで道の助成に上乗せする形で実施していたが、保険適用拡大のため同年度限りで道の助成とともに終了していた。助成制度がなかった22年度の「空白期間」をなくすため、新たな独自助成は昨年4月1日の治療開始までさかのぼって適用する。

事業費は330万円。市によると、道の助成に上乗せしていた21年度の市の助成制度利用件数は67件で、助成額は計約230万円だった。道内では岩見沢市や北見市など多くの自治体が保険適用後も不妊治療への助成を行っている。(和賀豊)

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