給食費無償化、空知管内自治体の7割が導入または検討 子育て支援や物価対策

おいしそうに給食を食べる月形小4年生の子どもたち

公立小中学校の給食費を無償化する動きが空知管内で相次いでいる。子育て支援に加え、物価高騰を受けて導入するケースが多く、月形町と秩父別町は本年度から無料とし、砂川市と新十津川町は今年8月から無償化する方針を示している。すでに無料としている自治体に加え、現在検討中の自治体も含めると、全体の7割近くに上る。

16日の昼過ぎ。月形小の4年生9人が、おいしそうに給食を食べていた。献立は鶏の唐揚げと白米、スープ、小松菜とベーコンのソテー、牛乳。子どもはぺろりと完食していた。

月形町は子育て世帯の支援のため、町内に1校ずつある小中学校の給食費を無償化した。昨年度までは、小学校で1食あたり241円、中学校で同287円だったため、保護者は1人当たり年間5万~6万円を支払っていた。中3の三男と小6の長女が学校に通う農家東出敏幸さん(43)は「2人合わせると年間で約10万円かかっていたので、経済的にありがたい」と話す。

小中学校の児童生徒数は計120人。本年度の事業費約600万円は国の地方創生臨時交付金を充てた。来年度以降の財源は未定だが、上坂隆一町長は「何とか確保し、継続的に無料にしていく」と話す。

学校給食法では、食材費は保護者が負担するよう求めているが、子育て支援や物価高を受けて、独自の施策で無料にする自治体が増えている。

空知管内の小中学校の給食費

北海道新聞の調べでは6月16日現在、管内24自治体のうち、時限的措置も含めて美唄市や歌志内市など11市町がすでに無料にしている。このうち、三笠市は道内で最も早い2006年度から小学校の給食費を無料に。当時、出生率が低下し、子育て支援のために先駆けて導入した。奈井江町、沼田町も検討を進めている。

一方、人口が多い自治体ほど事業費がかさみ、給食費への公費負担は限定的だ。岩見沢市は22年度から物価高騰分を市が助成し、給食費は据え置きにしているが、市教委学校給食課は「無償化への考えは現時点ではない」という。深川市は昨年12月の市長選で当選した田中昌幸市長が公約で掲げており、今年4~7月の給食費を無料にしたが、8月以降は再び有料に。将来的に完全無償としたい考えだが、具体的な時期は未定だ。

給食費を巡っては、自治体間で格差が生じているため、政府が3月末に公表した少子化対策のたたき台の検討項目に無償化が盛り込まれている。

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