連載コラム「あそぶ→そだつ」第23回

【あそぶ→そだつ】約束事 ゲームを通じて理解

札幌市内の認定こども園で、3歳~3歳半の4人の子どもがカードゲームで遊んでいました。12種類のクマのカードが2枚ずつ入っている「テディメモリー」というゲームです。ゲームを始めてから間もない子どもたちは、保育者と一緒に順番やルールを確認しながら遊んでいます。

まず、わらべうたで順番を決めました。1番の子から時計回りで順に進めていきます。隣の人が終わったら、自分の順番というように、回り順をいつも同じにしておくと、子どもにとってわかりやすく、ゲームが進みやすいです。

カードゲームを仲間と楽しむためには、ルールを理解し守ることが必要です。順番を守る、ずるいことをしないといった約束を守ることで、みんなが気持ちよく参加できます。同じように、社会のルールもそこで暮らす人たちが気持ちよく過ごすためのものです。このようなゲーム遊びで培う力は、社会の中で必要な力となります。

さて、このゲームはトランプの神経衰弱と同様に、同じクマの絵をめくるとそのカードをもらうことができます。よく見て記憶することが求められます。

寝ているクマ、アイスを食べているホッキョクグマ、赤ちゃんのクマなど、いろいろな絵が描かれているため、自分のお気に入りを見つけたいと、がんばる子どももいます。

カードが全部なくなると、子どもたちは各自のカードの山を並べ、高さ比べをしました。1番高かった男の子は「いぇーい」と喜びます。負けた男の子が「もう一回やりたい」と再チャレンジを提案します。

負けた悔しさも貴重な体験です。負けたら終わりではなく、もう一回がんばるという挑戦心も遊びの中で培っていくことが期待できます。

教えてくれたひと

増山由香里さん

札幌国際大准教授(発達心理学)

1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある。

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北海道外

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