スキー授業 重い保護者負担 上川管内小中 バス、リフト代、用具費… 中古品や譲渡会で節約 一部自治体で軽減策

旭川サンタプレゼントパークでスキー授業に臨む知新小の児童たち=3日(西野正史撮影)

上川管内の小中学校で2月、スキー授業が盛んに行われている。雪の多い地域特性を生かしたカリキュラムで、中には競技力を伸ばして冬季五輪に出場した選手もいる。子どもたちにとっては楽しい校外活動だが、物価や電気代の高騰を受け、スキー場への送迎バスやリフト代、用具購入などの費用負担が保護者にのしかかる。一部自治体は費用軽減策を取り入れ、保護者はスキー用品を中古で調達したり、無料譲渡会に参加したりして節約するケースもある。

旭川市内のスキー場サンタプレゼントパークでは3日、市立小学校9校の児童がバスで訪れ、スキー授業に臨んでいた。知新小3年の龍後壮磨(りゅうごそうま)君は「家族でよくスキー場に来る。授業で滑れるのが楽しみ」と笑顔。教員やボランティアの保護者の引率で、子どもたちは次々とリフトに乗った。

旭川市立の全小中学校が体育の一環で旭川や東川、比布のスキー場4カ所でスキー授業を実施。学校や学年ごとに年2回ほどバスで向かう。市教委学務課の矢萩恵課長は「冬の自然環境を生かし、スポーツに親しむ機会。楽しみにしている子も多いのでは」と話す。

他の授業との大きな違いは、スキーや金具、ストック、スキー靴、スキーウエア、手袋、帽子などの購入に3万~4万円ほどかかる点。さらに旭川市では、学校とスキー場を結ぶ送迎バス代とリフト代は保護者が持つ。市教委によると、費用は参加者による“割り勘”方式で、2回の授業で1人当たり4千~6千円かかるのが一般的という。

保護者側の「自衛策」は中古品の活用。市内のリサイクル店「うーたんストア」によると、中古品は新品の半値以下で購入できるといい、毎年、スキー授業実施前の12月から1月にかけて在庫がほぼ完売する。斉藤貴大社長は「毎年買いに来る人もいる。最近は電気代などが上がる中、スキーを負担に感じる家庭もあるのではないか」と話す。

経済的に困窮し、就学援助制度を受けている家庭にはスキー用具をそろえるための費用が支給されるが、支給は3年に1度。ある小学校の管理職は「金銭的な事情で、スキー授業に一度も出られなかった子も過去にはいる」と打ち明ける。

保護者の負担軽減のため、授業にかかる費用の一部を自治体が負担するケースもある。富良野市は約800万円をかけ、市内の中学生に富良野スキー場のシーズン券を配布し、授業の際に活用してもらっている。もともと小学生のリフト代は無料で、市教委教育振興課の桑島洋課長は「富良野は『スキーのまち』。子どもたちがスキーに親しむ機会をつくりたい」と話す。

東神楽町内では2014年から毎秋、スキー用品の無料譲渡会が行われている。サイズが合わなくなったスキーなどを持ち寄ってもらい、必要な人に譲る仕組みだ。主催団体メンバーの三浦純子さん(45)は、長女が小学生のころ、成長に合わせて毎年のようにスキーなどを購入。使わなくなったものを有効活用しようと、譲渡会はママ友との雑談をきっかけに誕生した。

成長期の子どもたちのスキー用具を確保し、保護者の費用負担も軽減する一石二鳥の取り組み。三浦さんは「できれば自治体や学校でも、譲渡会や交換会を企画してもらいたい」と提案する。

Area

北海道外

その他