3歳児健診で視力異常を早期発見 十勝で検査機器の導入拡大

SVSで目の検査をする帯広盲学校の教員。自治体に出向き、こうした様子を見せて必要性を説明している

自治体による3歳児健診の視力検査で、目の異常を早期発見できる検査機器を使用する動きが十勝管内で広がっている。自宅で保護者が検査する従来の方法では、不安の声が出ていた。現在は上士幌や広尾など10町が従来の方法に追加する形で使用し、幕別や豊頃など5町村が早ければ来年度からの利用を検討している。


10町活用 精密検査増 帯広盲学校も使い方指導

管内自治体で使われているのは「スポットビジョンスクリーナー(SVS)」という屈折検査機器。子どもの目の高さに合わせると、数秒で近視や遠視、乱視、斜視の状況が分かる。1台約140万円。大人の視力検査にも利用できる。

導入した全町が「健診で異常が分かり、精密検査につながる事例が増えた」など一定の効果を実感している。音更町は本年度から使用し、精密検査をした人数は10月時点で33人で、前年度の約3倍だ。

これまでの検査は自宅で保護者が行い、後日、健診会場に結果を持参していた。多くの自治体は「絵指標」を採用。2.5メートル先に子どもを立たせて魚や花など4種類の絵を見せ、1枚ずつ絵の名前を言わせる。保護者からは「子どもが動き回って検査できない」「発話やコミュニケーションに課題があり、検査が難しい」などの声が出ていた。

日本眼科医会によると、目の機能は3歳までに急速に発達し、6~8歳ごろまでにほぼ完成するという。同会など5団体は2021年度、各自治体に3歳児健診で屈折検査機器を使うよう要望。国は本年度、自治体の購入費の半額を補助し、導入を後押ししている。

帯広盲学校も屈折検査機器の必要性を感じている。22年度は要望のあった芽室、音更、根室管内羅臼など5町の3歳児健診に協力、同校のSVSで検査した。さらに、校区の自治体で福祉や教育の関係者向けに使い方を教えている。

同校の特別支援教育コーディネーターの土屋勝広教諭(58)は「屈折検査機器を広げ早期の治療や支援につなげたい」と話す。

帯広市内の保護者でつくる団体は11月、市に導入を求める要望書を提出した。市は「費用や導入した場合の検査にかかる時間などの問題を整理している」と説明。9月の健診で試験的に使用したほか、他の自治体の情報を集めている。(小坂真希)

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