専門家「4歳以下接種を」 保護者、副反応に不安 新型コロナワクチン

生後6カ月から4歳までの乳幼児を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が、道内でも11月から本格的に始まる。子ども用ワクチンを巡っては、副反応などへの保護者の不安が根強く、5~11歳の接種率は約2割と低迷。乳幼児も伸び悩む可能性があるが、「第8波」の流行が予測される中、専門家は乳幼児の感染拡大を懸念し、接種の重要性を指摘している。

「乳幼児にマスク着用は難しく、できる感染対策はワクチンだと思うけれど、副反応で大変な思いをさせるのではないかと躊躇(ちゅうちょ)してしまう」。札幌市北区の佐野あかりさん(34)は、自身の接種後の発熱や腕の痛みなど副反応がつらかったため、1歳の娘に受けさせるかどうか頭を悩ませる。

乳幼児用ワクチンは米ファイザー製。有効成分量は12歳以上の10分の1で、3回接種する。初回から2回目までは3週間、2回目から3回目までは8週間以上空ける。他の世代と同じく、接種を受けるよう努める「努力義務」が適用される。

道によると、道内の対象者は約14万人。ほとんどの自治体で11から接種が始まる見込みだ。道内では5~11歳の2回目接種率が21%(全国19%)にとどまる。副反応や安全性に不安を感じる保護者が多いとみられ、道の担当者は「乳幼児の接種率は5~11歳より伸び悩むのでは」という。

一方、厚生労働省は乳幼児用ワクチンについて「発症を予防する効果が一定程度、確認されている。安全性に重大な懸念はない」とする。厚労省によると、海外での臨床試験では3回接種後の発症予防効果は73%だった。腕の痛みや発熱などの副反応が報告されているが、いずれも軽症という。

コロナに感染した子どもの症状を調べている聖マリアンナ医大の勝田友博准教授(小児感染症学)は、乳幼児へのワクチン接種について「十分に意義がある」と強調する。子どもは軽症のことが多いが、第7波では子どもの感染者の急増に伴い、急性脳炎やけいれんなどの合併症による重症例が増え、長引く熱やせきなどの後遺症も見られたためだ。国立感染症研究所によると、1~8月に報告された5歳未満の死者14人のうち、6人は基礎疾患がなかった。

勝田准教授は「第8波では、5歳未満を中心にワクチンを打っていない子どもの感染が拡大する可能性がある。重症化を防ぐため、接種を積極的に検討してほしい」と呼び掛ける。

今冬は季節性インフルエンザの流行も懸念されており、日本感染症学会は「小児を中心に大きな流行となる恐れがある」と警戒する。日本医師会の釜萢敏(かまやちさとし)常任理事(小児科)は「コロナとインフルのワクチンは同時接種が可能だが、さらに別のワクチンを打つ場合は2週間空ける必要がある。乳幼児はさまざまな定期接種があり、接種スケジュールを含め、かかりつけ医としっかり相談を」と話している。(根岸寛子)

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