浦河で広がれ、ほめる子育て オーストラリア発祥のプログラム活用 町内サークル、親同士支え合う

車座になって子育てについて話す「ぱすてる」のメンバーら

【浦河】オーストラリア発祥の子育てプログラム「トリプルP」を活用し、育児に悩む親が支え合う取り組みが町内で進んでいる。活用法を学んだ女性らが2015年につくった子育てサークル「ぱすてる」は、コロナ禍で中断もあったが、現在はリモートを含め月3回ほどの活動を継続。新たに、障害児のためのプログラムを学ぶ講習会も始めた。

トリプルPは「Positive Parenting program(ポジティブ・ペアレンティング・プログラム)」の頭文字を取った名称。「愛情を表現する」「ほめる」「計画的な無視」など17項目を実践しながら前向きに子育てに取り組むもので、2歳から小学生までが対象だ。

浦河では元町教委職員の吉村明美さん(62)が、NPO法人トリプルPジャパン(東京)の養成講座で指導者の資格を取得し、2015年から断続的にトリプルPの講習を開催。ぱすてるは、町内で駄菓子屋を営む港道征子代表(51)ら数人が吉村さんの講習を受講後、似た境遇の親の集まる場として立ち上げた。吉村さんによると、同様の団体は日高管内で唯一という。

活動は町基幹集落センター堺町会館などで行い、5~10人が参加する。10月上旬には、8人が車座でそれぞれ現状を話し「お母さんが頑張りすぎでは」「手を抜けるところを探してみたら」と意見を交わした。自営業男性(42)は取材に「人の状況を聞いて自分の悩みも話し、育てづらさを感じていた子どもとの向き合い方が変わった。外出時にぐずるのが減った実感もある」と打ち明けた。

港道代表は自身の子育てでも、言葉遣いをほめるなど簡単な取り組みから始め、関係が改善したという。「悩みを話して解決していくためのサークル。人間関係が希薄になり孤立する人が増えているので、困った人が、ここにたどり着いてくれれば」と期待する。

障害児との向き合い方を学ぶステッピングストーンズの講習

障害児との向き合い方を学ぶステッピングストーンズの講習

ぱすてるは今年9月から、障害や問題行動のある子どもと向き合うプログラム「ステッピングストーンズ」の講習も始めた。全8回で吉村さんが指導する。

10月上旬の5回目の講習では「来客」「車で外出」「病院に行く」といった、場面に応じた準備を学んだ。受講者らは取材に「子どもを怒ってばかりで悶々(もんもん)としていたが、同じ境遇の人と話し心に余裕が持てた」「ほめることで自分も楽になった」と感想を述べた。

11月1日から12月20日までに新たな講習があり参加者を募集中。テキスト代など4500円ほどが必要。申し込みは、ぱすてる事務局の小林さん、電話090・7879・1926へ。

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