けんぶち絵本の里大賞・ヨシタケシンスケさん4回連続 父親目線で子どもの成長描く

ヨシタケシンスケさん(PHP研究所提供)

【剣淵】読者投票で優れた新作絵本を選ぶ「第32回けんぶち絵本の里大賞」(けんぶち絵本の里づくり実行委員会主催)は神奈川県の絵本作家ヨシタケシンスケさん(49)の「あきらがあけてあげるから」が277作品の中から大賞に選ばれた。4回連続の大賞受賞となるヨシタケさんは「もうないかと思っていたのでびっくり。こんなに毎回支持していただけてうれしい」と喜んでいる。

「大人も面白いと思うものに」

「第32回けんぶち絵本の里大賞」に輝いた絵本「あきらがあけてあげるから」

大賞を含む入賞4作品は3日に発表された。大賞作品は、チョコレートの袋を自力で開けられず悔しがる男の子あきらが、大きくなったら「なんでもあけるやさん」になり、みんなが開けられない物を代わりに開けてあげようと想像を膨らませる物語。

「元々、人の代わりに物を開けるのが好きだった」というヨシタケさん。作中では、瓶や缶詰、がま口財布などさまざまな物が登場するが「開ける物の見た目や、開く音、目的、手段など幅が広く、描いていて面白かった」と振り返る。

現在高校1年生と小学5年生の2人の息子の子育てを通じ、「子どもに何かをやってあげる期間は短い」と感じた経験を題材に、「開けることに焦点を当て、子どもが成長していく姿を描きたかった」。大人も共感できる内容になっているのは、「絵本は親や祖父母の目にも触れるので、いろいろな世代が面白いと思うものにしたい」と知恵を絞ったからだ。

8、9月に町絵本の館を訪れたうち、昨年の2倍近い延べ2162人が投票し、入賞4作品が決まった。次点の「びばからす賞」は、柴田ケイコさんの「パンどろぼうとなぞのフランスパン」と、チョーヒカルさんの「やっぱり じゃない!」が受賞。新人賞の「アルパカ賞」には、鈴木のりたけさんの「大ピンチずかん」が選ばれた。

授賞式は、来年2月18日に町内に各作家を招いて行う予定。同日から3月19日まで、絵本の館で受賞作の原画展を開く。(宗万育美)

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