Baby&Kid's
  • 子どもたちが歌やゲームで英語を体験する札幌円山幼稚園の英語遊び。指導教諭らが話す言葉のほとんどが英語だ
    2020/10/23

    英語 遊んで親しむ 道内の幼稚園や認定こども園 子どもの負担増やさぬ工夫

    道内で英語に親しむ活動を導入する幼稚園や認定こども園が増えています。小学校で本年度から英語が正式な教科となったことや「国際感覚を育てたい」と考える保護者が多くなったためです。一方、関係者の中には子どもの負担を懸念する声もあり、実践する園は、子どもたちが遊びを通して自然に英語にふれあうプログラムづくりに知恵を絞っています。(佐竹直子)


    「I’m 6 years old(6歳です)」。札幌円山幼稚園(札幌市中央区)年長組の三田順之亮(じゅんのすけ)君(6)が、園の廊下で竹下麦穂(むぎほ)教諭に英語で年齢を聞かれ、即答しました。英語で歌や絵本の読み聞かせなどを楽しむ「英語遊び」の時間に覚えたフレーズです。

    同園は、2015年度から英語を導入。担当の竹下教諭は元国連職員で海外勤務が長く、外国人講師と2人で進める英語遊びの会話は、ほとんどが英語です。

    「Who are you?(あなたは誰)」。7日の英語遊びでは、竹下教諭がハロウィーンの歌の歌詞に合わせ、耳に手をあて質問のポーズ。「I’m witch(私は魔女)」と答える歌詞になると、子どもたちに魔女の絵を見せました。竹下教諭は「子どもたちは、会話や単語をひとつずつ訳さなくても、状況や相手の表情で自然に意味を理解する」と言います。

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    長女(6)と長男(4)が同園に通う小森山あゆみさん(33)=札幌市=は「当初は日本語との区別なく面白い言葉として覚えていたようでした。今は英語を話す海外の国々にも興味を持つようになり、英語を覚えるのが楽しそう」と子どもたちの反応を喜びます。

    札幌市の宮の森幼稚園も、「国際感覚を育てたい」と考える保護者の増加に応え、本年度の年少組から英語教育を導入しました。外国人講師が、簡単なあいさつや会話を英語で教えています。

    北海道私立幼稚園協会(札幌)によると、現在、道内の私立幼稚園と幼稚園型認定こども園約450園のうち、約200園が英語教育に取り組んでいます。08年度に小学校高学年に「外国語活動」が導入されたのを機に増え、17年に、高学年の教科化と外国語活動の3年生への引き下げが決まったことで加速したといいます。

    旭川あゆみ幼稚園(旭川市)は、1976年から英語遊びを実践しています。道私立幼稚園協会会長でもある川畠教孝理事長は「幼児期に生活の中で自然に英語を体験すると、英語に親しみを持つ」と手応えを示しますが、保護者からのニーズの高まりに対しては「子どもの負担を増やさずに、何をどこまでやるのがいいかは業界の課題」と悩みます。

    渡島管内知内町の町立知内幼稚園は、18年度から知内高校の英語教員の指導で、英語で簡単なあいさつや会話を体験する外国語活動を導入しています。小松将人園長は「幼稚園で英語に触れても、小学校の外国語活動が3年生からのため空白ができる。体験を生かすには、切れ目なく英語を体験できる環境も必要」と指摘します。

    ネイティブの絵本読み聞かせ 効果的

    幼児期から英語とふれ合うには、どのような方法が効果的なのでしょう。言語脳科学が専門の東京大の酒井邦嘉教授に聞きました。

    言葉は、文章や会話で覚えます。幼児に単語やアルファベットから教える方法はとても不自然です。リンゴが食べたいか尋ねるときは「Do you want an apple?」と動詞や冠詞も必要です。「リンゴ=apple」と単語だけ覚えさせたり、あいさつだけ暗記させたりしても会話に発展しません。

    アルファベットなどの文字は、音声による言葉を人工的に置き換えた記号にすぎません。脳にまだ英語の音声が定着していない状態で教えても、文字から音声に直せません。

    幼児に英語に触れさせるなら(英語を母語とする)ネイティブスピーカーによる絵本の読み聞かせが良いでしょう。絵から連想する物語と朗読の声を重ね合わせることで、文章の意味まで自然と脳に入ります。好きな映画やアニメの英語版を繰り返し見るのもいいですね。主人公になりきってセリフを覚えたら、自信を持って話せるようになります。

    英語のネイティブスピーカーにスポーツなどを指導してもらえる機会があれば、生きた英語を学べます。いいプレーをして「Good job!(グッジョブ、よくやった・がんばった)」と言われたら、ほめ言葉だと体験で理解し、自分でも使えるようになります。英語が自然に身につく環境が整えば、幼児期から英語に触れるのは有効です。

    保護者は子どもに英語で何ができるようにさせたいのでしょう。国際会議で討論や通訳ができるような能力を求めるなら、幼児期から英語に触れる環境にいた方が効果的ですが、そこまで求めないなら、急ぐ必要はありません。まずは、英語を通して多様な文化の楽しさを体験してみるのはいかがでしょうか。