英語の勉強、いつ始める?

(写真はイメージ=PIXTA)

2020年度から、小学5、6年に英語が正式な教科として導入されます。「英語教室に通わせたほうが良いかしら」などと悩む保護者は多いようです。「自分も早くから勉強しておけば良かった」と思っている中高生もいるかもしれません。留学カウンセラー、通訳、英語教育専門家の3人に、英語の勉強はいつから始めるのが良いのかを聞くと、始めるのに遅すぎということはないようで―。

日本語と区別付いてから|道教大札幌校准教授・志村昭暢さん

道教大札幌校准教授・志村昭暢さん

しむら・あきのぶ 紋別市出身。北海学園大学卒業後、旭川実業高に英語教員として勤務。2014年から北海道教育大学札幌校特任准教授、17年から現職。専門は英語教育学。

就学前に英語教室に通ったり、教材などで勉強したりすることは、ピアノや水泳などの習い事の一環として考えるのが良いと思います。プロの英語の使い手を目指す子もいるとは思いますが、英語教室で習ったことは小学校の英語の授業では少し役立つ程度にとどまるのではないでしょうか。

早い時期の英語学習には過度な期待をしないことです。「英語が好きになること」を目的にすると、将来の英語学習が成功する可能性が高くなります。一度英語嫌いになると、克服するのはなかなか難しいです。

英語は、日本語がある程度使えるようになってから始めるのが良いと思います。日本語で言えないことは、英語でも言えません。日本語と英語の区別が付く6~7歳くらいから始めるのが良いかもしれません。

英語を始める時期の早い、遅いはその後の成果とはあまり関係ありません。早くから始めると効果があるという研究結果があるのは発音だけです。子どもは耳が良く、恥ずかしがらないので、聞いた音をそのまま言えるからです。発音が良いことと、会話ができることは違います。「早くから学習すれば話せる」という明確な研究結果はありません。

これまでの日本の英語教育は、英文を訳する訳読が中心でした。辞書を引いて、日本語訳を書く。これでは話せるようにはなりません。私たちは生まれてから数年間、日本語を毎日聞き、話せるようになってから、文字を覚えます。英語は中学校に入ったら突然、英文を読むことから始まりました。この従来の授業スタイルは今、会話中心に変わろうとしています。

中学2年までの英文法が理解できれば、日常会話はできます。一夜漬けではできませんが、こつこつやれば、十分ものにできると思います。

いずれにしろ、「英語が楽しい」という気持ちが大切です。英語学習は、英会話スクールに通わせたり、高い教材を購入したりすることだけではありません。英語の絵本を読み、動画サイトで子供向けの英会話教材を見たりして、保護者も一緒に楽しく学ぶのがお勧めです。

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