夜泣きに家族で向き合おう おむつ汚れや暑さなど影響

写真はイメージ(naka / PIXTA)

夜、子どもが寝付いた後、突然泣いて起きる「夜泣き」。授乳したり抱っこしたりしても泣きやまないことがあり、寝不足に悩む親は多いでしょう。保育園に行き始めたころなど、環境が変わるタイミングで起こることもあります。新型コロナウイルスの感染拡大で保護者が悩みを相談し合う機会は減っており、細やかな支援が求められています。

コロナ下に悩み打ち明ける機会減る

「終わりが見えないのがつらかった」。札幌市中央区の会社員横田春奈さん(30)は長女(1歳5カ月)の夜泣きをそう振ります。始まったのは生後8カ月ごろ。多いときは一晩に5回、長い時は1時間泣き続けたそうです。

おしゃぶりを吸わせたり昼寝を減らしたり、寝具を何種類も買って試したり。試行錯誤するうちに2カ月ほどで収まりましたが「寝不足できつかった」と言います。

子どもの急な病気やけがの相談に看護師や小児科医が応じる「北海道小児救急電話相談」では、夜泣きに悩む親から相談が寄せられます。業務に関わる石狩管内当別町の看護師、畑了子さん(61)は「何をやっても泣きやまない」という電話を何度も受けたことがあります。畑さんは「コロナ下では親が悩みを打ち明け合う機会が減り、いつも以上に大変だろう」と気にかけています。

清田小児科医院(札幌市清田区)院長の三戸和昭さん(70)によると、夜泣きが目立つのは生後1カ月~8カ月ごろ。おむつの汚れ、暑さ、空腹、母乳やミルクの飲み過ぎなどの原因が考えられるそうです。

9カ月以降も夜泣きはあり、「保育園などに入園して、親と離れた不安感を寝ている時に思い出して、泣くこともあります」と三戸さん。おむつ交換や抱っこ、部屋を静かにすることで収まることが多いですが、発熱や激しいせき、けいれんなど他の症状が重なって続く場合は病院に行く必要があります。

子どもが夜泣きした際の主な対応

2017年度の厚生労働省の研究事業によると、産後2週未満の女性のうち、「十分な睡眠がとれない」と回答した割合は54%に上りました。産後女性の10~15%は産後うつに陥るとされており、厚労省母子保健課は「夜泣きによる疲労やストレスも、うつの原因になっている可能性があります」と分析しています。

子育て支援に詳しい札幌国際大教授の品川ひろみさん(保育社会学)は「保護者への支援体制は整ってきていますが、疲れ切って相談に行く力が残っていない人もいます」と指摘。その上で「母親だけでなく家族で協力するのが大前提。コロナ下なので、行政などがオンラインでの悩み相談会や集まりを開くのも有効」と話しています。

動画視聴 寝付きにくく
東京女子大 橋元教授に聞く

子どもが夜泣きした時、ユーチューブなどの動画サイトを利用して、泣きやませたり寝かしつけたりする親もいます。スマートフォンが乳幼児に与える影響について詳しい、東京女子大教授の橋元良明さん(65)=コミュニケーション論=に利用時の注意点を聞きました。

夜泣きしている子どもに動画サイトで音楽を聞かせるなら、心を休める作用はあります。でも、動画を見せるのはお勧めしません。電子機器特有のブルーライトは、子どもを興奮させて寝付きにくくさせるからです。 好きなアニメを見たら、もっと見たくなって眠らなくなる可能性もあります。寝たとしてもスマホで動画を見る習慣がつき、視力の低下につながります。 面白い動画があって子どもが笑ったり言葉を発したりしても、スマホからは何の反応もありません。これではコミュニケーション力は育ちません。夜泣きの時に限らず、よほどの事情が無い限り、就学前は動画サイトを見せる必要はないでしょう。

取材・文/尾張めぐみ(北海道新聞記者)

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