連載コラム「絵本はママを育ててくれる」第9回
【あおくんときいろちゃん】お絵描きで寄り添う心
ページに絵の具が点々、「夢中」を初体験
うちにある「あおくんときいろちゃん」は、ページのあちこちに緑色の絵の具が飛び散っています。
夫は昔からこの絵本の大ファンで、息子に読み聞かせる日を心待ちにしていました。「登場人物」は全てふぞろいの丸。心の動きで形や色が変わるのですが、息子はなかなか興味を示しませんでした。
1歳半ごろ、青と黄色の絵の具をたっぷり出し「おててで混ぜてごらん」と言ったことがあります。2色が白い器の中で混ざり合い、絵本と同じ緑が現れた時の喜びようといったら! 息子の手が生んだその色は、初めて見たもののように私と夫の心も動かしました。
作者レオーニも孫にお話をせがまれ、夢中で色付けしているうちにこの作品ができたそうです。大人も子どももわれを忘れ、心が寄り添ったからこそ、ふぞろいな丸がイキイキと動きだしたんですね。
緑色の絵の具ができた後、当時住んでいたタイの家のテラスの壁にお絵描きしました。最後はホースで水をかけて消しながら、もうひと遊び! 4歳になった今も、息子は南国仕込みの豪快なお絵描きが大好きです。昨日は家のカーペットをオイルパステルで汚してくれました。このまだら模様もいつか良い思い出になるかしら。
今回登場した絵本
「あおくんときいろちゃん」
レオ・レオーニ作、藤田圭雄訳 至光社
あおくんときいろちゃんは仲が良すぎて混ざり合い、緑色に。途方に暮れますが、自分という「色」を認識するようにもなります。デザイナーだった作者も、このデビュー作で子どもに伝える役割と喜びを知ったのでしょう。
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