幼い心に寄り添いケア 遊び場でストレス発散 胆振東部地震3週間

​安​平​町​早​来​に​開​設​さ​れ​た​「​あ​そ​び​の​ひ​ろ​ば​」​で​保​育​士​ら​と​遊​ぶ​子​供​た​ち​。​時​間​を​か​け​た​心​の​ケ​ア​が​求​め​ら​れ​て​い​る​(​中​川​明​紀​撮​影​)​

胆振東部地震から3週間がたち、子供たちの心のストレスやそこから来る体調不良が心配されている。大きな被害が出た胆振管内安平町や厚真町では、保育関係者や町職員らが中心となり、精神的なケアや遊び場づくりに取り組むところも。子供たちのストレスは体調や行動に表れるまでに時間がかかるとされ、専門家は「長期的な支援が必要」と呼びかける。


安平町早来の多目的施設「しののめ交流館」に、子供たちのにぎやかな笑い声が響く。道内各地の保育士や心理士らが町と協力し13日から開設している「あそびのひろば」。子供たちが縄跳びや鬼ごっこをしたり、スタッフが保護者らの相談に乗ったりしている。

4歳と3歳の子供を連れて初めて利用した町内の主婦白石由理さん(30)は「子供も私も地震で生活が一変し、疲れていた。ストレス発散になりました」とほほ笑む。自宅に被害はなかったが余震が怖く、地震後はダイニングテーブルの下に布団を敷いて眠った。子供たちも、なかなかそばを離れなかったという。

ひろばには多い日で約300人が訪れた。学校や保育園なども再開し始めたため28日でいったん閉鎖予定だ。町教委子育て支援グループの福原美樹さん(40)は「避難所では周囲を気にして走り回ったりできず、子供たちもストレスをためていると感じた。子供にとっても親にとっても安らげる場所になった」と話す。

厚真町内の避難所「厚真スポーツセンター」そばの芝生では、同町の嘱託職員斉藤烈さん(30)が呼びかけ人となり、地震直後からけん玉や絵本の読み聞かせなど子供向けの遊び場を提供した。現在は町教委が主催して週末に開催しており、斉藤さんは「思い切り走り回って遊び、元気になってほしい」と願う。

日常に戻りつつある札幌市内でも、地震を怖がったり体調不良を訴えたりする子供たちが出てきている。東区の認定こども園「もえれのもり」では地震後、保育教諭から離れない子や下痢をする子もいた。

同園の信田昌絵園長は「今は落ち着いてきたが、園児を不安にさせないように、なるべく普段通りに接することを心がけている」と話す。

2016年の熊本地震から1カ月後に熊本市教委が行った調査では、市内の全小中学生約6万人のうち、約2150人に精神的なケアが必要と判断された。その後も継続的に聞き取りを続けたところ、今年6月の段階でもまだ約800人いた。このうち440人は地震から2年がたって、新たに体調不良などの変化が見られた子供だった。

熊本地震など被災者支援に取り組むNPO法人「アフタフ・バーバン」(東京)の北島尚志代表は、被災した子供と接する際の注意点として「子供一人一人の声に、じっくり耳を傾ける」などを挙げる=表参照=。その上で「被災直後は緊張状態にあり、ストレスを抱えていても表に出てこない子が多い」と指摘。「地震から1年以上たって体調を崩す例もあり、長い時間をかけて寄り添う必要がある」としている。

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