はしかワクチン 2回が有効 世界各地で感染拡大

写真はイメージ(pearlinheart / PIXTA)

世界各地ではしか(麻疹)の感染が拡大し、国内でも相次いで確認されています。感染力が非常に強く、脳炎を合併して重症化し亡くなる恐れもあります。予防には2回のワクチン接種が重要で、専門家は「海外に行く人などは自分の感染歴や接種歴を確認し、必要に応じて接種の検討を」と呼びかけています。

強い感染力 新型コロナの6倍

はしかは、ウイルス感染から約10日で発症し、発熱やせき、鼻水といった風邪に似た症状が現れます。感染経路は、飛沫(ひまつ)感染に加え、せきやくしゃみで飛び散って空気中を漂っている病原体を吸い込む「空気感染」もあります。

感染力は強く、新型コロナウイルスの約6倍とされ、1千人に1人の割合で脳炎を発症します。また、およそ10万人に1人の割合で、感染して数年~10年後に極めて重度の脳炎、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症する恐れがあります。

国立感染症研究所(東京)によると、今年の患者数は3月24日までに海外の渡航歴のある人を中心に21人(道内は0人)。既に昨年1年間の7割に達しました。2019年には700人を超える患者が出ましたが、新型コロナが流行した20~22年は10人以下で推移していました。

感染歴、接種歴の確認を

石黒信久さん

日本小児感染症学会理事で、北大病院感染制御部の部長、石黒信久さん(64)は「はしかの予防は一にも二にもワクチン。母子手帳などで2回の接種歴が確認できず、感染歴もなければ、2回の接種が望ましい」と指摘します。1回の接種で95%、2回で99%以上の割合で免疫を獲得できます。

これまで、ワクチンの接種制度は変更が繰り返され、接種状況は世代により異なります。子どものころに予防接種を受ける機会がなかった人や、1回しか接種していない可能性が高い人もいます。

ただ、はしかのワクチンは生きたウイルスを弱めて用いる「生ワクチン」なので、免疫の弱っている人は医師と相談が必要といいます。

ワクチン需要の高まりを受け、厚生労働省は子どもの定期接種をする医療機関への供給を優先するよう求めています。

爆発的拡大の可能性は低い

今後、国内でさらに感染が拡大する恐れはあるのでしょうか。石黒さんは「心配過剰になる必要はない」とします。国立感染症研究所によると、2歳以上のほとんどの年代で抗体保有率は95%以上(22年度現在)。仮に感染者が増えても爆発的に拡大する可能性は低いそうです。

石黒さんは「過去にもはしかが国内に持ち込まれた例があり、保健所を中心に症例調査や接触者調査が行われ拡大は抑えられてきた。慌てず、健康管理の一環として接種できる時に接種を」と促しています。

現在は、定期接種で1歳と就学前の計2回、公費で接種できます。厚労省によると、道内の22年度のはしかワクチンの接種率は1回目が95.5%、2回目が89.0%でした。札幌市保健所の担当者は「1回目と2回目の接種間隔が空き忘れてしまいやすいが、免疫をしっかりつけるため確実に接種してほしい」と話しています。

取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)

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