育児で「不平等」7割超 mamatalkアンケート「共働きでも家事は妻」「仕事してる方が立場が上」

写真はイメージ(Mai / PIXTA)

「共働きなのに育児や家事はほぼ全て妻である私がやっている」「夫は仕事をしている人の方が立場が上だと考えている」―。子どもを育てていて性別による不平等を感じたことがあるか、「mamatalk(ママトーク)」でアンケートをしたところ、7割以上が「ある」と回答しました。負担が偏っていること以上に、対等な立場ではないと感じている人が多い結果となりました。

負担の偏りより尊厳軽んじる言動に違和感

「国際女性デー」(3月8日)に合わせて2月にアンケートを実施。135人(女性119人、男性15人、性別無回答1人)が回答しました。

ジェンダーギャップアンケート

不平等を感じたことが「ある」と答えた人は49人、「どちらかと言えばある」52人で、合わせると回答者全体の75%に上りました。不平等な扱いをするのは配偶者53人、親族や親戚19人。不平等を感じる理由は「対等ではない」が40人と最多で、「育児分担の偏り」が36人と続きました。

育児は女性がするものという考え方により抑圧や過度の負担を感じている人は多く、健康や尊厳が軽んじられるケースも目立ちます。札幌市の40代女性は出産の傷が治りやっと湯船に入れるようになったころ、夫から「子どもが泣いているのに何も感じないのか。早く授乳しに来い」と言われました。30代女性(札幌)は「自分が病院に行きたくても時間が取れない」。

40代男性(同)は「上の世代には女親は自分のことは後回しにしてでも子どもの側にという考えがある」と指摘。親世代の影響の強さがうかがわれます。不平等感の解消策を尋ねた問いには「学校教育で育児家事の平等も教えるべきだ」との回答が複数寄せられました。

頑張りや苦しさが認められず疲弊する人も多くいました。「主婦は年中無休24時間で褒めも認められもしない」(30代主婦、同)。「夫が育児をすると私の母は『仕事もあるのに偉い』と言う。私もフルタイムで仕事してるわ」(40代女性、同)。

決めつけ 男性の壁にも 「父親と話しても無駄」

性別役割分業意識は男性にも壁となります。30代男性(同)は「幼児健診で医師から『父親と話しても無駄』と言われ食事の相談ができなかった」と打ち明けました。「夫が子の看病のため休みを申請したら上司から『奥さんの仕事の方が優先なのか』と言われた」(30代女性、オホーツク管内)。

職場の変革を求める声も相次ぎました。育児休業を半年取得した30代男性会社員(札幌)は、時短勤務も関心がありましたが男性の事例が少なく、言い出す雰囲気もなかったそうです。

性別による役割や「らしさ」を求められることに「違和感がある」「やや違和感」との回答は74%に上ります。一方、「まあ当然」と回答し、性別による役割やらしさを求めることが「悪として押しつけられていると感じて、へきえきしている」(40代女性、函館市)との声もありました。

「どちらとも言えない」は19%で、性別に適した役割の傾向はあっても個人の得意不得意で考えた方が良いとの意見が目立ちました。

不平等を感じない26人のうち、16人は夫婦の育児負担が同等または平等と答えました。30代女性公務員(北見市)は、子どもの発熱時は夫と交代で半日ずつ休むと言います。「担当作業は決めない。できないときに『相手の分なのに』となるのを避けたいから」

その他の自由記述回答を紹介します。

Q.育児で「女らしさ・女親の役割」「男らしさ・男親の役割」を求められると、どう感じますか

A.「まあ、当然だ」
・子どものためなら気を回すことは女性の方が細かく気を配れる(40代女性、札幌市)

・子どもの体調不良で出勤できなくても「ママだから」仕方がないと思われている。個人的には性別役割意識を利用している面もある(30代女性、札幌市)

A.「どちらとも言えない」
・男女で得意不得意なことがあるので、ある程度の固定観念は仕方ない(30代女性、石狩市)
・言われて嬉しい時もあるし、負担になる時もある(30代女性、滝川市)

A.「やや違和感がある」
・お母さんが仕事を休んで幼稚園の行事に参加したら普通なのに、お父さんだと「偉い」と思われるところ(40代女性、小樽市)

A.「違和感がある」
・共通してできることが沢山ある。我が家はご飯を旦那が作り、機械などを直すのは私(30代女性、札幌市)
・旦那の親戚の家で、男性は立ちもせず「酒」「水」「氷」「なんか食べるものあるか?」と家政婦のように女性を動かす。子の世話もあって手間取る私が「もっとテキパキ動かんとなぁ~!!」と笑われても旦那はフォローせず。理不尽(30代女性、北海道)
・「早くお嫁さんもらって生活や健康管理してもらえ」とか言う人多すぎ(40代女性、札幌市)
・ジェンダーバイアスにより子どもの将来の選択肢が狭められたくないので、家庭での実践が大事(40代男性、札幌市)

Q.育児で性別による不平等を感じたことがありますか

A.「どちらかと言えばある」
・双子育児に追われて料理や掃除を出産前のようにできず、夫から「努力不足」と罵られ、夫の両親からは家事育児は母親が全て担うよう言われた(40代女性、札幌市)
・私が仕事を休めない日の前日に子どもがインフルエンザを発症した時、夫は「俺は休めない」の一言(30代女性、札幌市)

A.「ある」
・配偶者が職場に遠慮して育休を取らず、結果的に私が育児メインに(30代女性、札幌市)

Q.不平等感はどうすればぬぐえると思いますか

・出産前に父親学級を開く。参加は必須で(30代女性、檜山管内)
・保育園のお迎えコールを夫に設定(30代女性、札幌市)
・夫に育児参加を促すため「母子手帳にお父さんのメッセージもあると子どもが嬉しいよ」と声を掛けた。園・学校行事は子どもからも「来てくれると嬉しい」と伝えた(30代女性、函館市)
・思いやりを持って話し合いをし、互いの立場や考え方を理解する(40代女性、札幌市)
・ある程度はもう諦めるしかないかなぁと(笑)。言い合う気力もないので割り切った方が楽(30代女性、札幌市)
・男性の育児を促すため、職場で育休に加え時短などの働き方も希望を聞いて(30代男性、札幌市)
・中学教諭の夫は育児をしたくても帰宅が遅く土日も部活で不在。私もフルタイム勤務したいけれど、育児や家事に支障が出る。せめて行政の育児支援拡充を(40代女性、北広島市)
・男性社会で父親は急な飲み会を断れない。オールドボーイズネットワークについて報道して。女性が参加できない会社の交際費は不可とする税制改正を(50代女性、札幌市)
・長時間労働を強い女性雇用数が少ない会社に罰則を。ジェンダー平等に配慮すると経済的な利益が出ると、社会や会社、個人にモチベーションづけをする(30代女性、函館市)
・政府や自治体による啓発(30代男性、札幌市)

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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