乳幼児から性別問わない教育 函館・ひかり幼稚園 同色の上着、班分け混合

全員おそろいの黄色いスモッグを着て遊ぶ函館ひかり幼稚園の園児

全員おそろいの黄色いスモッグを着て遊ぶ函館ひかり幼稚園の園児

函館市神山の認定こども園ひかり幼稚園が、男女の区別をしない「ジェンダーレス」教育を行っている。全員同じ色の上着を着用したり、男女で分けず子どもたちが決めたグループで整列したりする。元女性で男性に性転換をした寺地加奈園長(52)は「性別に関係なく、お互いを認め合える子に育ってほしい」と力を込める。

画用紙に絵の具を付けて遊ぶ年少児たち。女児も男児も汚れないように黄色のスモックを着ている。同園では昨年度まで女児はピンク色、男児は水色のスモックを着ていたが、本年度から入園時に保護者が購入するスモックを黄色に統一した。

同園は5年前の園の建て替えを機に衣服や決まり事を見直した。子どもたちが自分で選択し、周りがその選択を尊重できる環境を目指している。

整列やゲームの際には男女で分けず、子どもたちが「ぎょうざ」「からあげ」などと名前を決めて二つのグループに分かれる。ひな祭りの工作の前には教諭が「先生も黒い服を着るし、お内裏様だってピンクの服を着ても変じゃないよ」と話し、園児は好きな色の折り紙を使ってひな人形を完成させる。

同園の教育の背景には、寺地園長の強い思いがある。寺地園長は小さい時から男になりたいと思っていた。性別変更後の2020年、「人生の転機をしっかりと伝えたい」と、参観日の後に保護者に公表。その直後は会場が静まりかえったが、卒園式後、保護者から「第二の人生を応援する」と花束を渡された。

ずっと「こんな園長でいいのだろうか」と悩んでいたが、ありのままの自分を受け入れられ、安堵が広がった。同園を運営する学校法人木村学園の木村優之理事長(40)は「だれも性別のことは気にしていなかったが、本人なりのけじめだった。性別を気にしない自然な状態が本当のジェンダーレスだろう」と話す。

寺地園長は「自分は自己肯定感が低かった。子どもたちには良いところも苦手なところも認め合って自分らしく幸せに生きられるよう成長してほしい」と願う。

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