栽培・収穫体験が子どもの野菜嫌いを克服!?

農業体験が「野菜好き」になるきっかけに 収穫体験、道内各地でめじろ押し!

札幌市中央区保育・子育て支援センター園庭の畑で、ナスの実や花、葉を観察する園児たち=8月28日(北波智史撮影)

札幌市中央区保育・子育て支援センター園庭の畑で、ナスの実や花、葉を観察する園児たち=8月28日(北波智史撮影)

実りの季節がやってきました。保育園や幼稚園では、食育の一環として栽培している野菜の収穫が真っ盛り。子どものころから農作業の体験をしていると、野菜を好きになり、意識的に食べるようになるとの調査結果があります。道内の体験型農場でもこの季節、収穫プログラムやイベントがめじろ押しです。

「ナスって中身は白いんだね」 保育園で収穫シーズン

「せーの」

ぶちっ、ドシン。

「とれたー!」

保育所機能を備える札幌市中央区保育・子育て支援センター「ちあふる・ちゅうおう」の園庭。畑に実った長さ15センチほどのナスを園児が引っ張ると、ヘタのあたりからちぎれて思わず尻もちをつきました。「中が白い」「紫色じゃないの」。ちぎれた部分をのぞき込んで興味津々です。中岡紬(つむぎ)ちゃん(5)は「ひねったら取れたよ。(実は)冷たかった」。川口眞歩子(まほこ)ちゃん(6)は「上(ヘタ)はギザギザで下はツルツルだった。あんまり好きじゃないけど、おつゆに入れたら食べられる」と話しました。

今年春オープンした同センターでは、食育の一環としてピーマンやスイカなど野菜9種類を栽培。園児が苗や種を植えたり水をやったりしています。自ら世話をして実が育つ様子を観察することで、野菜に興味関心を持ち、食べる物の命を感じてもらう狙いです。同センターの管理栄養士、池端希代美さんは「野菜が苦手な子もいるけれど、収穫した野菜を給食に使う時は、ちょっと食べっぷりが良くなります」と話していました。

野菜と触れ合う体験を10回以上した人のうち「野菜好き」は92.8%

大手食品メーカーのカゴメ(名古屋市)の「野菜定点調査2022」(15~69歳、4680人が回答)によると、野菜が好きだという人の割合は、収穫など野菜と触れ合う体験がこれまで10回以上あった人では92.8%で、0回の58.6%と大きな差がありました=グラフィック=。夏休みの自由研究で野菜をテーマにしたことがある人ほど、1日に食べる野菜の量を考えて食事をとるようになるという調査結果もあり、多くの野菜が育つ夏や秋の体験が大切と言えそうです。

野菜と触れ合う体験が多いほど野菜好き

カゴメの野菜情報サイト「VEGEDAY(ベジデイ)」によると、子どもの野菜嫌いには理由があります。《1》知らない食べ物は安全性を確かめようと本能的ににおいをかぐため、においを嫌うと食わず嫌いになる《2》酸味や苦みは腐敗・有害を知らせる味として避ける傾向がある《3》濃い色を嫌いがち―などです。野菜を刻んでホットケーキに混ぜるなど調理の工夫に加え、楽しく食べる雰囲気づくりや体験が効果的といいます。

体験型農場でも収穫真っ盛り

道内の体験型農場もまさに収穫期です。ホクレンが運営するくるるの杜(もり)(北広島市大曲)では今月、ピーマンやカボチャが採れ、ブロッコリー、キャベツ、サツマイモも順次、旬を迎えます。クイズで北海道の野菜や農業を学びながら収穫して食べる予約制の体験があります=こちら=。食べ方はさまざまで、例えば9月23、24日はジャガバター(参加費は4人まで2500円)、30日と10月1日はキャベツでホットドッグ(同2800円)を作ります。

農業体験交流施設サッポロさとらんど(札幌市東区)も収穫体験を実施=こちら=。9月16~18日は収穫祭で、農業者が多彩な野菜を持ち寄るファーマーズマーケットが開かれます。

今夏の暑さで例年より早く収穫が終わるものもあるため、体験前に各ホームページなどで確認が必要です。

その他、道内各地の農業・収穫体験は、北海道宝島旅行社(札幌市)の予約サイト「北海道体験」で検索できます。

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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