連載【0カ月からの育児塾】

赤ちゃんがぐっすり寝るにはコツがある

写真はイメージ(pearlinheart / PIXTA)

赤ちゃんが寝てくれず、悩む親は多いものです。寝付けない原因について、北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)は「赤ちゃんの生活のリズムが崩れているためです」と話します。

生活リズムで大切なのは、睡眠、食事、排せつ、運動の四つのバランスです。例えば、母乳やミルクを飲む量が多すぎると消化して便で出し切れず、おなかが苦しくなります。体を動かす時間が少ないと、体力が余ってしまいます。これらが、寝付きにくくなる原因になります。

生活リズムに加え、赤ちゃんが寝るためには環境を整えることも大切です。部屋は暗くし、静かにしましょう。寝かし付けをする人の心の安定もポイントです。親が「早く寝てくれたら家事ができるのに」などと考えていると、赤ちゃんに伝わって不安定になることがあります。まずは、こうした土台を見直してみましょう。

眠いサイン見逃さないで

寝かし付けのコツは、眠たいサインを見逃さないことです。例えば、あくびをする、ぐずる、ぼーっと一点を見つめる、抱っこしていたら顔を胸にすりつけてくる、手が熱くなる―などがあります。サインは赤ちゃんによって違います。見逃すとぐずって寝かし付けるのが難しくなるので、その子なりのサインを見つけましょう。

寝かし付けのコツ

抱っこで寝入っていた赤ちゃんが、布団に置いた途端に泣き始める現象を「背中スイッチ」と言うことがありますが、高室さんは「スイッチがあるのは実は胸の方です」と解説します。親と胸が離れることが、赤ちゃんの泣くスイッチになるのです。

布団に下ろすときは、少しの間、赤ちゃんの胸に片手を当て、別の手でトントンとリズミカルに体をさすることで、眠りに入りやすくなります。眉間の辺りを上から下になでることで、目を閉じるよう促す方法もあります。寝かせるときは親も一緒に布団に入り、離れるときは深く寝入ってからにしましょう。

せかさず便利グッズ活用

寝かし付けに便利なグッズとして、おくるみやバスタオルがあります。体を優しくくるんで、赤ちゃんが深い眠りに入ったら、少し緩めてあげても良いでしょう。タオルを端から丸めてドーナツ状にし、抱き枕のようにして使う方法もあります。この場合は、口元にタオルがかからないようにしましょう。

他にも、お母さんのおなかの中で聴いていた「トントン」という胎内音に似た音が聞こえるぬいぐるみをそばに置いたり、ビニール袋をもんで音を出したりするのもお勧めです。

赤ちゃんにとってベストな1日当たりの睡眠時間は、0~3カ月が14~17時間、3カ月~1歳は15時間ほどです。成長ホルモンは夜に分泌されるため、3カ月ごろまでは、夜は午後8時か9時を目安に寝かせましょう。寝る前に、母乳やミルクでおなかを満たすこともポイントです。午前8時ごろには、生活音などで自然に起こしましょう。

高室さんは「赤ちゃんは、寝かせようと必死になるとなかなか寝ないもの。まぁいいか、というくらいの気持ちで対応してみてください」と呼びかけます。

こちらの動画では、おくるみやバスタオルを使った寝かせ方などを詳しく紹介しています。

取材・⽂/尾張めぐみ(北海道新聞記者)

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