連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第42回
子宮頸がんワクチン、男の子も必要? HPV原因のがん予防に効果
Q.質問
男の子でも、子宮頸(けい)がんワクチンを打った方がよいという話を聞いたのですが、どういうことでしょうか。
A.回答
子宮頸がんワクチンとは、子宮の入り口にできる「子宮頸がん」を引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンで、HPVワクチンと呼ばれています。HPVは子宮頸がんだけでなく中咽頭がんや肛門がん、男性特有の陰茎がん、尖圭(せんけい)コンジローマという性器にできるイボなど男性もかかる病気の原因になります。男性も接種することで、HPVが原因となるがんの予防が期待できます。
HPVは性行為で感染するため、男性もワクチンを接種することで、感染の広がりを効果的に予防できます。個人はもちろん全体のHPV感染率を下げる「集団免疫」の効果も期待できます。
世界では70カ国以上で男性へのHPVワクチン接種が承認されています。米国、英国、オーストラリアなど20以上の国々では公費接種の対象になっています。オーストラリアで88%、米国では64%の男性がHPVワクチンを接種しているとされ、男性の接種が普通になりつつあることがうかがえます。日本でも2020年12月から、4種類のHPVの免疫をつける「4価ワクチン」の男性への接種が承認されています。
男性の接種時期は9歳以上で、女性と同様に12、13歳ごろが最適とされ、26歳までの接種が勧められています。回数は3回で、初回接種の2カ月後に2回目、初回接種から6カ月後に3回目を接種します。
ワクチンの副反応で一番多いのは、注射部位の痛みや腫れ、赤みなどで、重い全身的な副反応はごくまれとされます。
日本では、男性への公費接種はなく自費接種です。1回1万5千~2万円程度と高額なため、接種はあまり広がっていません。今年、青森県の平川市で男性への公費助成が行われるようになりました。そういう動きが少しでも広がれば、と思います。
(瀬川雅史=のえる小児科院長)
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