道内で高い母乳育児率 札幌のシンポジウムで推進団体報告 産後1カ月61% 2医療関係者が調査
道内は母乳で子どもを育てる人が多い傾向にあることが、札幌市内で3、4の両日に開かれた母乳育児シンポジウムで報告された。母乳育児を推進する医療機関で出産した母親は母乳育児をする割合が高いことも分かった。道内の医療関係者2人が実施したアンケートの結果を詳報する。(編集委員 安宅秀之)
シンポジウムは一般社団法人日本母乳の会の主催。会は、母乳による育児を推進する全国の医師や助産師、看護師、保健師らで構成している。
対象179市町村
北見赤十字病院の助産師、沢野留美子さんは道内179市町村へのアンケート結果を報告した。回答率は56.9%だった。
母乳育児をする母親の割合(母乳率)は、産後1カ月が61.8%、4カ月は64.5%。厚生労働省調査(2015年)の全国平均(産後1カ月で51.3%)を上回った。
妊婦を対象にした「母親学級」は回答した市町村の64.8%が開催していた。このなかで、母乳育児に関する講義を開いていたのは57.4%だった。
授乳指導実施86%
新生児のいる家庭への訪問は、回答した全ての自治体が行い、授乳指導は86.9%が実施していた。一方、授乳指導をしていないと答えた市町村は「助産師の育児栄養訪問で実施」「困難な事例や乳房のトラブルがほとんどない」「指導したいが知識不足」などを理由に挙げた。
訪問時に母乳不足と判断する基準(複数回答)は回答した全自治体が「新生児の体重」を挙げた。「授乳回数」と「授乳間隔」が80.3%、「母乳分泌の状況」68.2%、「新生児の尿回数」67.3%と続いた。
自治体の担当者が、母乳育児支援の活動で困っていること(複数回答)では「人工乳追加の判断」(58.9%)、「乳房形態(乳首が短い、大きい、陥没しているなどの異常乳頭)に関する相談への対応」(50.5%)、「乳腺炎の対応」(31.8%)だった。
これらについて沢野さんは「看護師や助産師でも難しいケースがある。自治体の保健師を対象に研修を行い情報共有や連携を密にすることが必要」と提案する。
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