小4のドラム、ネットで共振 発達障害の函館・泉君、独自練習重ね 投稿動画に反響、演奏で気持ち安定

自宅の防音室でドラムを演奏する泉共喜君。父親の雄司さんが撮影し、動画サイトに投稿する(石川崇子撮影)

発達障害がある函館市の男子小学生が、独学で習得したドラムの演奏をネット上で披露し、注目を集めている。特定の音にストレスを感じやすいハンディがあり、幼稚園も途中で退園したが、ドラムが気持ちの安定につながり、小学校では授業にも前向きに臨んでいる。

北昭和小4年の泉共喜(ともき)君(9)。自宅の防音室で、歌詞を口ずさみながら軽快にリズムを刻む。ヤマ場にさしかかると、真剣な表情で力強くシンバルをたたく。その様子を父親の雄司さん(33)が撮影する。「友達や先生に『動画見たよ。かっこいいね』と言われるとうれしい」と、照れくさそうに話す。

YouTubeに昨年11月から、ミスターチルドレンの楽曲や人気アニメ「鬼滅の刃」の主題歌など16曲を1本ずつ載せた。1800回以上再生された動画もある。「がんばれー」とのコメントや、別の曲のリクエストも寄せられている。

ドラムに触り始めたのは2歳。バンド活動をする祖父母の影響もあり、音楽は身近な存在だった。プロの曲を聴いてリズムやたたく場所を耳で把握する独自の方法で練習を重ねてきた。

様子が変わり始めたのは幼稚園年長の春。他人の話し声にストレスを感じ、かんしゃくを起こすようになった。発達障害と診断された。友人とのコミュニケーションも苦手になり、卒園式の半年前に幼稚園はやめざるを得なかった。

その頃から、ドラムでストレスを発散することが増えた。両親にしかられても泣きながらドラムを演奏すると、30分ほどで落ち着き、居間に戻ってくる。心のバランスを整える方法が見つかり、小1からは支援クラスに通常通り通っている。

今でも学校のチャイムの音は苦手だが、リコーダーや和太鼓に触れる音楽の時間や、友人と遊べる休み時間は大好きだ。新型コロナウイルスの影響による休校時は、学校に通えないもどかしい思いを楽器にぶつけた。

将来は、大好きなゲームの製作に携わりたいと話す共喜君。「ドラムは自分を助けてくれる存在。演奏すると気持ちが落ち着く。大人になっても続けて、いつかはバンドも組んでみたい」。音楽とともに、夢を追いかける。動画はユーチューブで「TOMOKI ドラム」から検索できる。

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