連載コラム「あそぶ→そだつ」第11回

【あそぶ→そだつ】「やっぱりいた」に満足感〜いないいないばぁ〜

カーテンに隠れて「いないいないばぁ」と遊んでいるお子さんはいませんか?

4カ月前に訪れた札幌市内の認定こども園で、1歳4カ月の女の子がカーテンのついた大きな棚の中に入り、静かにしていました。

保育者が「かっこうー」と言葉をかけると、「ばぁ」とカーテンを開け笑顔を見せます。これは岩手県遠野地方に伝わる「かっこうー えだあー」という童歌。「かっこうー」は「隠れる」、「えだあー」は「いた」という意味で「いないいないばぁ」の遊びです。

女の子は保育者と目が合ってほほ笑むと、またカーテンを閉め、保育者の言葉を待ちます。このやりとりを何度も、うれしそうに繰り返しました。

生まれたばかりの赤ちゃんは、視界から物が見えなくなると「もう、そこにはない」と思い手を伸ばさなくなります。生後4~8カ月になると、目の前にあった物が見えなくなっても、消えずにそこにあると分かります。「いないいないばあ」は「そこにいるよね?」という予測や期待、そして「やっぱりいた!」という思った通りだった喜びや、満足感が楽しいのです。

冒頭の遊びを見ていた1歳6カ月の女の子が棚のそばに来て、笑いながらカーテンを開けました。まるで「みーつけた」と言っているようです。2人は目が合うと、にっこりほほ笑み合います。これは、かくれんぼにつながります。

隠れられる場所は、この時期の子どもにとって楽しい遊び場所になりますし、周りの人とのコミュニケーションの場にもなります。はいはいや歩行で子どもが動けるようになると、布を被ったり、どこかに隠れたりするかもしれません。その時は、ぜひ「いないいない」と言葉をかけてみましょう。

教えてくれたひと

増山由香里さん

札幌国際大准教授(発達心理学)

1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある。

2024
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