連載コラム「絵本はママを育ててくれる」第2回
【くだもの】香りも味も、さぁどうぞ
香りにうっとり切り口にがぶり ママの仕掛けは大成功
マンゴー、スイカ、パイナップル…南国タイの良いところは、いつでもどこでも、安くておいしい果物が手に入ることでした。
1歳ごろの息子や、タイで親しくなった日本人のママ友の子どもたちは、絵本「くだもの」が大好き。みんなで市場を歩いている時「読み聞かせをしながら、果物を切って見せたらどうだろう」と思いつきました。
子どもとママが3人ずつ集まったある日。布をかけて隠しておいた果物を、本の陰から登場させると…! 子どもたちの目が、ぱあっと輝きました。小さな手が次々出てきてリンゴの丸さを確かめたり、ぶどうの水滴に触れてびっくりしたり、イチゴにかぶりついたり。触って、かいで、かじって、感覚を惜しみなく開き、夢中になっています。
私がこんなふうにじっくり何かを観察したのは、いつだったろう? 新しい発見の喜びを、かつて私たち大人も味わったのです。
最後に、大きなスイカをぱかっと切ってみせました。真っ赤な果肉が現れると、子どもたちはカブトムシみたいに吸いつきます。顔も服も手も、汁でべたべたにしながら食べたスイカは、どんなにおいしかったことでしょう。
今回登場した絵本
「くだもの」
平山和子・作 福音館書店
画面いっぱいの果物はみずみずしく、香りが漂ってきそう。一つ一つを指しながら「もも」「いちご」と教えれば、物には名前があることが分かるようになります。わが家の1冊には、あちこちに果物の汁がとんでいます。
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