来春の認可保育所申し込み11月から 「利用調整」入園を左右

子どもたちの歓声が響く保育所の園庭。来年4月入園の申込時期が迫っている=札幌市北区の三和新琴似保育園

認可保育所と認定こども園の保育所部門への来年4月入園申し込みが札幌で11月2~30日(第1次)、旭川では12月1~7日(同)など、道内市町村ごとに期間を定めて行われます。希望する施設への入園希望者が多い場合、保護者の就労状況などに応じて付けられる点数が高い順に入園の可否を決める「利用調整」が行われます。

就労状況などに応じ点数

保育所は年間通して乳幼児を受け入れることが原則ですが、実際には受け入れ人数に限度があるため、小学校入学を控えた子どもが卒園した直後の4月入園が最も現実的な選択となっています。

札幌市は第1次申し込みについて来年1月下旬から2月上旬に入園可否を通知します。さらに、2月上、中旬に第2次申し込みを受け付け、3月上旬に可否を通知します。旭川市では第2次申し込みを第1次締め切り後の12月8日から来年2月5日まで行い、可否通知は第1次が2月上旬ごろ、2次は3月上旬ごろを予定しています。

一方、函館市では12月上旬から1月中旬までに申し込み、2月に決定が通知される予定です。

入園可否は、市町村による利用調整に基づきます。保護者の就労日数・時間、疾病、ドメスティックバイオレンス(DV)被害、ひとり親家庭、産休・育休明け、きょうだいが保育所に入園しているか―などの状況を各市町村が現状に応じて点数化し、点数が高い順に入園について「承諾」の通知が行われます。

点数が低く、入園が認められない「保留」が通知された場合は、希望園の枠に空きが出るまで待機するか、その時点で空きがある別の園へ申し込むなどの選択をすることになります。

認可保育所への来年4月入園までの主な流れ

自営業は加算なしも…「仕事復帰できない」

「会社勤めの人より点数が低く、3歳まで待たなけばならないのではと不安です」。札幌市内で第1子の9カ月の男児を抱える自営業の女性Aさん(38)は、認可保育所の「利用調整」の壁を嘆いています。

Aさんは昨年12月の第1子出産でいったん店をたたみました。仕事復帰のため今年4月の保育所入園を目指しましたが、Aさんが希望した認可保育所はいずれも対象を「生後5カ月から」と定めており、4月入園を見送ることになりました。

次善策として受け入れ枠の空きが出ることに期待しましたが、空きが出ても「利用調整」に基づく待機順位は上がることがなく、待機が続いています。

認可保育所の利用調整基準点数の例

※札幌市の設定から抜粋。設定や点数は市町村で異なる


札幌市の利用調整基準表に沿うと、「産休明け・育休明け」で保護者が会社勤めの場合は40点加算されるのに対し、自営業は加算なし。きょうだいが保育所に通っていると80点加算されますが、第1子ではそれもありません。Aさんは「仕事復帰ができず、家計も厳しい」と訴えています。

札幌市子育て支援部は「産休明けなどの加算は、産休や育休制度の促進を目的として設けられた経緯がある。自営業の保護者への対応も議論はしているが、すぐに進む状況にはない」としています。

取材・文/弓場敬夫(北海道新聞編集委員)

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