かんしゃく、親から離れられない、にらむ…問題行動は親の対応を見直すチャンス 子育て学協会会長・山本直美さん
「かんしゃくを起こす」「親から離れられない」など、子どもに気になる行動が見られたら、どう向き合うと良いでしょうか。北海道新聞朝刊の生活面(現在のくらし面)にコラムを掲載していたNPO法人子育て学協会(東京)会長の山本直美さんは22日、オンライン講演を行い「子どもの問題行動は、親が対応を見直すチャンス。『ありがとう』と思って受け止めて」と呼びかけました。講演の一部を紹介します。
丁寧な対話/ポジティブな声かけを
オンライン講演は「子どものサインに気づいていますか? 大人と子どもの安定した家族の整え方」と題して同協会が主催し、全国の約300人が参加しました。
山本さんはまず、子育ては以前のように「伝承するもの」から、「学ぶもの」へと変化していると指摘。子どもの成長に応じたかかわり方を学ぶことで「親は自分らしい子育てができるし、親自身が学ぶ姿を見せることは子どもにも良い影響がある」と力を込めました。
子どもの問題行動への対応は、次の三つを例に説明しました。
《1》かんしゃくを起こす
「お菓子を買ってほしい」「友だちのおもちゃを使いたい」などの自分の気持ちを、コントロールできない状況。
対応:強い言葉で叱るのではなく、「お約束、守れるかな?」などと丁寧に対話をする。約束が妥当か、大人がヒステリックな面を見せていないかも時々見直しを。
《2》分離できない
保育園の登園時や、友だちと遊ぶ時にパパやママから離れられない状態。
対応:親と離れた後に「楽しいことが待っている」と感じられるよう、ポジティブな声かけをする。
《3》にらむ
自分の気持ちを伝えようとしても「どうせ聞いてもらえない」という思いを抱いている状況。放置すると心を閉じていく可能性がある。
対応:親の言うことを一方的に聞かせようとせず、丁寧に対話をする習慣をつくる。親自身がにらむ顔をしている場合は、子どもがまねている可能性もあるので見直しを。
子どもと一緒にルール決めて
山本さんはまた、幼児期に育むとよい子どもの基盤として、ありのままの自分で安心して過ごせる「心の安定」、好きな遊びに取り組む「快動(かいどう)」、心身や行動をコントロールする「自律」の三つを挙げます。
「自律」する力を育むには「子どもと一緒にルールを決めることが重要」と指摘し、「しつけは『押しつけ』ではなく、ゆくゆくは消える『しつけ糸』のようなもの。親が決めたルールを強制せず、一緒に考えることを大切にしてほしい」と呼びかけました。
子どもの問題行動を受け止めるには、親の気持ちが安定していることも必要です。山本さんは「1人の子どもを育てるには、村中の人の力が必要」という北米先住民の教えを引用し、母親1人ではなく、チームで育児をすることの重要性を強調。定期的に「家族会議」を行うなどして子育ての目的を共有し、「自分の考えや習慣を押しつけず、相手の状況を思いやりながら対話をして」とアドバイスしました。
取材・文/酒谷信子(北海道新聞記者)
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