トイレトレーニング 焦らず前向きに 周り気にせず、やる気見守って

写真はイメージ(yamasan / PIXTA)

他の子はもうおむつを卒業しているのに、うちの子はまだ―。こんなふうに感じて焦る親は少なくないでしょう。トイレトレーニング(トイトレ)は汚れ物も増え、トイレへの付き添いに時間もかかり、親の負担は大きいです。新年度を前に、親子でストレスなく、排せつ習慣を身につけるにはどうしたらいいか、専門家に聞きました。

「保育園の同じ組の子がみんなパンツをはいていると聞いて、焦る」。3歳2カ月の長男のトイトレ真っ最中の札幌市中央区の会社員、井上友理さん(33)は話します。長男はトイレに誘われると用を足せるが、なかなか自分から言い出せず、失敗してしまうこともあるそうです。

平日、夫の帰宅は夜8時すぎ。井上さんはフルタイム勤務を終え、1人で次男(1)の世話や家事をこなしながら、長男のトイレに2時間おきに付き添います。「もれてしまうと本当に大変。いらっとして怒ってしまったこともある。今は小学校までに外れればいいかという気持ちです」といいます。

札幌市中央区健康・子ども課子育て支援係の保育士、渡辺愛乃さん(40)は「あせらない あきらめない あつくならないことが大切です」と話しています。

同課の窓口には毎年この時期、幼児の親から「もうすぐ幼稚園に入園するのにおむつがとれない」などと相談が寄せられます。市場調査会社ネオマーケティング(東京)の2015年調査でも、トイトレ中の2~3歳の親100人のうち7割が「焦りを感じる」と回答し、その主な理由は「他の子よりおむつ外しが遅れる」「近親者からの指摘やプレッシャーがある」でした。

渡辺さんは「周りのことは気にせず、子どもの体と心の準備が整ったら始めます」とアドバイスします。

まず、一人歩きができ、トイレでしっかり座れるか。ある程度、言葉でのやりとりができるか。2時間程度おしっこをためられるか。この三つが目安になるそうです。

補助便座やおまるなどを購入し、準備が整ったらトイレに誘う。体をぷるっと振るわせる、股をとんとんと触る、などおしっこが出そうなしぐさが見られた時や、生活の節目に声をかけてみます。トイレが嫌いにならないよう、頻繁に声をかけすぎないのも大事とのこと。トイレットペーパーなどで遊び出したら切り上げます。

ある程度、成功率が上がってきたらパンツで過ごさせ、自分で尿意や便意を教えてくれるのを待ちます。汚れたら困る部屋のマットやじゅうたんは、可能な限り片付けると失敗した時のストレスが少なく済みます。外出時や、時間に余裕がない時などはおむつを履かせてもいいですね。

失敗した時は、「すっきりして良かったね」「パンツがぬれて気持ち悪いね」「次は出る時教えてね」などと前向きな言葉をかけます。「排せつの失敗で怒られるのは子どもにとってとても悲しいし傷つきます」と渡辺さんは強調しています。

トイレに行くのを怖がる場合、なぜ嫌なのかを探りましょう。薄暗さや寒さ、におい、水を流す音など、理由がわかれば改善策を考えられます。便はおむつでしたいという子も多いのです。その場合は「トイレですると気持ちがいいよ」などと声をかけてみます。

夜間のおむつ外れは日中より時間がかかることも多いとのこと。朝まで尿が出ていない日が1、2週間続いたら、成功する確率が高いそうです。防水素材のマットをシーツの下に敷くと布団が汚れず心強いといいます。

渡辺さん自身も4児の母。のんびり屋の三男(3)はおむつを履いています。「必ず外れるので、子どもがやる気になるまで待ちましょう」と話しています。

おむつ卒業へグッズ活用
トレパン/ご褒美シール/補助便座

トイレトレーニングの負担を少しでも減らすため、頼れるグッズもある。西松屋チェーン南北海道地区長の佐々木純さん(46)におすすめの商品を教えてもらいました。

まずはパンツ。「吸水素材とパイル生地を重ねたトレーニングパンツなら、もれにくい」と佐々木さん。外出時には分厚い6層タイプ、自宅では3層タイプ、などと使い分けることもできます。広げて干すことができ、洗濯後の乾きが早いものもあるといいます。

西松屋札幌中央店で取り扱う折りたたみできる補助便座(左)、6層タイプのトレーニングパンツ(右)、ご褒美シール(中央)

西松屋札幌中央店で取り扱う折りたたみできる補助便座(左)、6層タイプのトレーニングパンツ(右)、ご褒美シール(中央)

子どものやる気を引き出すご褒美シールも、キャラクターものなど種類が豊富です。トイレで排せつできるたび、絵柄の描かれたシール台帳に貼ると、達成感を感じられるそうです。便器の内側に置き、尿をかけると動物の絵柄が浮かび上がるシートなども用意しています。

折りたたみ式の補助便座は外出時に便利です。「コンパクトに四つ折りできて、専用のポーチに入れて携帯できます」と佐々木さんは勧めています。

取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)

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