連載コラム「晴れときどき子育て日和」第1回

【新連載】「繊細くん」も「ゴリラちゃん」も個性 気づいて肩の力抜けた

写真提供/谷岡碧さん

札幌市で朗読活動を行い、2018~19年に北海道新聞で「絵本はママを育ててくれる」を連載していた谷岡碧さんが、2人の子どもの母となった日々を綴ります。


「絵本はママを育ててくれる」を連載中に生まれた娘が、4月で2歳になりました。名前は「明(めい)」といいます。

字のごとく太陽のように明るくエネルギッシュな娘。今は「自分でやる!!」が口癖で、何でも果敢に挑戦しては失敗して大泣きし、1分後にはけろっとして、寝るその瞬間までケラケラ笑っているような子です。我が家では親しみを込めて「ちび怪獣」とか「ちびゴリラちゃん」なんて呼んでいます。

4歳上の兄・遼(はる)は正反対。繊細で個性が強く、「みんな一緒」に大人の意図を感じ取り、イベントや習い事で「踊ろう!」とか「歌おう!」なんて言われる場面が大嫌いでした。そんな時、息子といつも隅っこで疎外感を味わった私は、「踊ろう!」と言われれば踊り、「歌おう!」と言われれば歌い、しかも楽しそうな娘をみて「おぉ…こんな子がいるんだ。私はただ見てればいいのか…楽だ…」と毎回小さな感動を覚えています。

そして息子は3歳の誕生日に「死ぬのが怖いから歳をとりたくない」と泣いたけれど、娘は同じ年ごろになっても「死」を語らないでしょう。今のところ、彼女からは生きるエネルギーしか感じません。

「ちびゴリラちゃん」を授かってからというもの、私の肩に入っていた力が抜け、心底楽になりました。

それまでは息子が繊細なのも、人と少し違うのも、私の気質や育て方のせいだと思っていたのです。そうじゃなくて、息子はただ息子らしく、そして娘は娘らしく、持って生まれたその種を自らぐんぐん伸ばしているだけなのです。

馬鹿みたいに当たり前のことを言うようだけれど、人はみな違うし、子どもは親の「成績表」でもありません。成果を求め、期待する心をできるだけ手放し、ありのままを認めて喜ぶ大切さを2人に教えられています。

先日、娘と体操教室の見学へ。キャッキャと楽しそうに走るようすに顔がほころびつつも、一筋縄でいかない子どもと、それに手こずるお母さんの姿に、かつての息子や自分が重なってギュっと抱きしめたくなりました。

「いい子」なんて枠に子どもを押し込めず、「ちびゴリラちゃん」も「繊細くん」も、それぞれの個性を祝福できる優しい社会であってほしい。そんなふうに思う日々です。

谷岡碧さん

たにおか・みどり/2012年にテレビ東京を退社後、タイへ移住してNGOで勤務。17年に帰国後は札幌へ住み、幼なじみと読み聞かせユニット「エネッツ」を結成して活動中。夫と小学1年生の長男、2歳の長女と暮らす。札幌市出身、36歳。

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