写真をスマホアプリでかんたん整理 成長記録を家族に共有

遊ぶ塩江太賀ちゃんに、スマホのレンズを向ける母友香さん=9日、札幌市中央区の大通公園

はいはいやつかまり立ちなどの子どもの成長や日々の出来事を写真で残す時、いつも手元にあるスマートフォンは、シャッターチャンスを逃さずに済み、便利です。たくさんの撮影データの整理や家族らとの共有に手間取りがちですが、簡単にできるスマホアプリが数多くあります。6月1日は「写真の日」。成長記録の整理について探ってみました。

閲覧できる人を限定

「スプーンを上手に使えるようになったね」。札幌市中央区の塩江太賀(たいが)ちゃん(2)の写真を表示したスマホ画面に、大阪府内に住む祖父母のコメントが付きます。祖父母と会うのは長期休暇くらいですが、太賀ちゃんの母友香さん(42)は「ほぼ毎日写真を載せて、一緒に成長を喜んでいます」。

友香さんが使うアプリは「家族アルバム みてね」です。撮った写真や動画を選んでアップロードすると、自動的に月ごとに時系列順で並びます。アルバムを見られるのは、子どもの父母ら管理者が招待した相手だけ。インターネット上に公開するSNSへの投稿に比べ、「知らない人に住所を特定される心配をせず、家や周辺で撮った写真も安心してアップできる」といいます。

子育て中の友人の多くが利用していて、勧められて太賀ちゃんが生まれた日から使い始めました。無料・無制限でアップロードでき、友香さんは「みんなが高く評価して使っているアプリは安心感がある」と話します。

育児日記もつけられる

アプリ「みてね」を運営するMIXI(ミクシィ、東京)によると、利用者は昨年8月に1500万人を超えました。同社は支持される理由の一つとして「直感的に操作しやすいデザインと仕組みにしたことで、家族みんなで使ってもらえている」と分析しています。札幌市手稲区の福原りえさん(56)は、「みてね」を使って同市内に住む娘夫婦とやりとりしています。「スマホの操作は苦手だけど、アプリのアイコンを触るだけで孫の新しい写真を見られる」と顔をほころばせています。

各アプリは進化を続け、便利な機能で独自色を競っています。Timers(東京)が提供する「Famm(ファム)」のiPhone版は、人工知能(AI)が撮りためた写真の中から子どもの顔を認識してアップロードを勧めています。育児日記に写真を添付する感覚のアプリは、ぴよログ(愛知)が提供する「ぴよログ」。毎日の授乳量や排せつの時刻の記録と併せて、成長著しい乳児期を振り返ることができます。

データのバックアップを

撮る、保存する、共有するといった一連の操作がスマホ1台で完結できる手軽さがある半面、注意点もあります。 千歳市の写真整理上級アドバイザー上野かおりさん(41)によると、多くのアプリはデータをインターネット上の保管場所「クラウドサーバー」に蓄積していて「アプリによっては、突然のサービス終了や利用料金の変更もあり得る」といいます。

自動的に画像サイズを縮小して保存するアプリもあり、プリントしたい時に画像が粗くて困る場合も。対策はデータのバックアップで「別のクラウドや、スマホと違う記録媒体の併用も検討して」。アプリ利用の注意事項は、各社ホームページの「よくある質問」などに記載されています。

フォトブックの作成も

紙にプリントする需要も根強くあります。上野さんは「プリントして、撮られた人を含めて多くの人が見返せるようにすることで写真はよりいきる」と話します。フォトブック作成アプリは、自動でレイアウトをしてくれたり(「ノハナ」)、AIがお勧め写真を選んでくれたり(「かぞくのきろく」)と、幅広い選択肢があります。上野さんは「成長した子どもが自分の写真を見返すことは、撮った家族の気持ちを感じ、自己肯定感を高めることにつながる」と勧めています。

プロによる撮影も特別な記録になります。北海道写真館連合会の千葉浩道会長(62)=北見市=によると、近年は撮影データがほしいという客もいるといいます。ただ、色の出方など「プリントを想定した撮り方をするのも写真館の技術。それを飾って毎日見返してもらえたらうれしい」と話しています。

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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