連載【0カ月からの育児塾】

産後パパ育休の過ごし方 おむつ交換やミルク、家事を分担

写真はイメージ(プラナ / PIXTA)

子どもが生まれてから8週間以内に、父親が最大4週間休業できる「出生時育児休業」(産後パパ育休)が導入され、半年以上たちました。父親はこの休業期間に何をしたらよいのでしょうか。北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)は「お母さんを支えるキーパーソンはお父さん。楽しく育児をするきっかけにしましょう」と呼びかけます。


赤ちゃんを迎える前に、一日の過ごし方を具体的にイメージしてみましょう=グラフィック=。赤ちゃんは、空腹やさみしさなどを伝えるためによく泣きます。おしっこは1日10回以上、うんちも1日2~3回程度で、そのたびにおむつ交換が必要です。夜間は、2~3時間ごとに起きることが多く、必要であれば、その都度、授乳やおむつ交換をします。

赤ちゃんと向き合うポイントは《1》泣いたらすぐ対応《2》心地よい抱っこをすること―です。《1》は、すぐ抱っこをして泣いた理由を探り、応えることで赤ちゃんとの絆ができるといいます。泣きやまない時は《2》を目指し、赤ちゃんがおなかの中にいた時のように、背骨が丸くなるよう抱いてください。

産後の母親の体と心への思いやりも欠かせません。初産の場合は24時間以上かかることが多く、その間陣痛に耐えなければなりません。またお産の傷が癒えるまで1カ月近くかかります。こうした疲労や痛みがある産後はゆっくり横になり、休養を取ることが大事です。そうした中で、夜中の授乳やおむつ交換をすることが体の負担になることを知っておいてください。

心の面では、産後は妊娠状態を維持していたホルモンが急激に減るため、母親の気持ちが不安定になりやすく、ちょっとした一言で傷ついたり、落ち込んだりします。こうした状態はマタニティブルーズといい、1~2週間程度で自然に良くなることがほとんどです。ただし、改善しない場合は、より深刻な状態「産後うつ」になる可能性もあります。高室さんは「お母さんの心の状態に、早めに気づいて支えてほしい」と話します。気遣う言葉をかけたり、保健所の相談窓口を利用したり、クリニックを受診することも検討してください。

母親にゆっくり休んでもらうため、産後パパ育休の取得時期は、産後すぐが望ましいでしょう。父親が育休中にできることは、赤ちゃんの沐浴(もくよく)やおむつ交換、家事などいろいろあります。高室さんは「赤ちゃんのお世話や家事は、出産前に一通りできるようになっておくとお母さんは助かります」と準備を促します。夜間にほ乳瓶でミルクを与える場合は、父親が担当し、母親にまとまった睡眠時間を確保するなど、両親でできることを話し合いながら進めましょう。2人で子どもを育てるという意識で向き合うことが大切です。

こちらの動画では、産後パパ育休制度や過ごし方をわかりやすく解説しています。

取材・⽂/田口谷優子(北海道新聞記者)

出生時育児休業(産後パパ育休)

主に男性労働者が対象。従来の育休とは別に、産後8週間以内に、最大4週間(28日間)の育児休業を2回まで分割して取れる。申請は2週間前まで。労使協定を締結している場合は、休業中の就業も可能。

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