札幌市、乳児用液体ミルク備蓄へ 年度内に300缶 賞味期限1年半

札幌市が災害備蓄品として本年度中に導入する乳児用液体ミルク(写真はサンプル)

札幌市は災害用備蓄品として、新たに乳児用液体ミルクを導入する。これまでは賞味期限が短いために利用を見送ってきたが、国内で製造販売する企業が増え、賞味期限が1年半の商品が出たため。本年度末までに240ミリリットル入り約300缶分を購入する。

市は8月にまとめた「地震被害想定」で、避難所などで乳児約650人分のミルクが必要になると想定しており、現在は粉ミルクを備蓄している。粉ミルクは毎年度更新しており、本年度分は一部を液体ミルクに変える。今回の約300缶は乳児約30人の2日分となり、区役所や市内の防災拠点倉庫に保管する。災害時は、必要に応じて避難所などに届ける。来年度も同様の方針だ。

従来の液体ミルクの賞味期限は1年前後だったが、今夏に1年半の製品が発売され、粉ミルクと同じになった。1食分の経費は粉ミルクの約2倍で、今回の導入にかかる経費は約7万円。

液体ミルクは常温保存のままで、開封してすぐに飲ませることができ、災害時に不足しがちな飲料用水を必要としない。ただ、2018年9月に発生した胆振東部地震では、支援物資として提供された液体ミルクへの理解が広がらず、大半が使われずに備蓄に回った。

一方で、2016年4月の熊本地震などでは輸入品が被災地に提供されて使われた。厚生労働省は2018年8月に液体ミルクの規格基準を定めて国内での製造・販売を解禁し、一般家庭で使われる機会が増えた。政令指定都市では岡山市や広島市などでも、災害備蓄品として導入している。

札幌市危機管理対策室の荻田葉一室長は「手間もかからず、利便性が高い」と話している。

賞味期限が近くなった備蓄用粉ミルクについて、市は市内の認定こども園などに無料配布している。

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