西胆振でコロナ感染の子ども、小児科殺到 PCR検査も 学校での拡大原因か

室蘭市のはざま小児科クリニックで間院長の診察を受ける親子

西胆振の小児科医院に新型コロナウイルスに感染した患者や、感染確認のためPCR検査を希望する子どもたちが殺到している。学校などで感染が広がっていることが原因とみられ、医療関係者は小児向けワクチンの接種を加速するよう求めている。

低いワクチン接種率背景

「受診の待ち時間が最大7時間になることもあり、大変混み合っている」。伊達市松ケ枝町のインター通り小児科の新田温英(はるひで)院長はこう話す。

同院は11月に入り、多い日には170人ほどが来院する。先月までの平均70人を大きく上回る状況だ。同院は日曜も診療しているため、後志や檜山管内などから患者が多く訪れ、現在は市外が半分を占めるという。新田院長は「これ以上、感染者が増えると業務に支障が出かねない」と戦々恐々としている。

室蘭市宮の森町のはざま小児科クリニックには、1日当たり240人が来院する。10月の1.5倍に増えているという。3割はコロナに感染しており、間峡介院長は「11月に入って急に感染者が増えた」と話す。

一方、学校側の感染対策も限界を迎えている。基本的な手指消毒に加え、空気の入れ替えもしているが、感染を抑えられない状況だ。18日に学級閉鎖した室蘭市の八丁平小の大谷昌史校長は「寒くても教室の窓を常時開け、風を起こすサーキュレーターで空気を循環させるなど、やれることはすべてやっている」と言う。東明中の高橋泰明校長は「今以上に寒くなれば窓を開けて換気する現在の状況も、生徒には辛くなってくるだろう」と話す。

子どもたちの間で感染が拡大する背景について、室蘭市医師会の野尻秀一会長は「子どものワクチン接種率が低いため」と指摘する。西胆振3市の5~11歳の小児ワクチンの1回目接種率(16日現在)は室蘭市が29.3%、登別市が39.8%、伊達市が49.1%にとどまり、大人の接種率にはほど遠い。

野尻会長は「ワクチンを打っていない子は感染しやすく、子どもから家庭内に感染が広がっている」と分析。保護者に対し、子どもへのワクチン接種を早急に進めるよう求めている。(古田裕之、山中悠介)

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