「不登校」親子の体験描く 釧路市在住漫画家・最上さん出版

実体験を題材にした新刊を手に「1人で悩む保護者の参考になれば」と話す最上さん

釧路市在住の漫画家、最上うみみさん(43)が親子で不登校に向き合う物語を描いた漫画「親子で不登校になりました。」が、竹書房(東京)から出版された。作品のモチーフになっているのは、不登校を経験した自身と息子の体験。作品を通じて「不登校は子どもから大人への『助けて』のサイン。大人の行動が変われば、子どもも変わる」と呼び掛ける。

「助けて」のサイン、行動を

最上さんの出版は3冊目。小学3年の息子を育てるシングルマザー「うみ子」が主人公で、資格取得のため専門学校に通い家事との両立で疲弊していた時、息子が突然、「漢字が書けない」「死にたい」と言い不登校になる場面で始まる。

うみ子も小学生の時に不登校を経験していた。両親が離婚し、母親に引き取られたものの育児放棄され入浴できず、級友に「臭い」といじめられたのがきっかけだった。作品では、うみ子が、かつての自分と不登校となった息子を重ね、自身もカウンセリングを受けたり、勤務先の同僚との関係改善を図ったりして、子どものころのトラウマ(心的外傷)など自分が抱える問題の解決にも動きだす姿を描く。

作品は最上さんの体験を下敷きにしている。小学6年から2年余り不登校となり、現在20歳の長男も小学3年から3年余り学校に行けなかった。

この作品のもとになったものは、2020年に自身のX(旧ツイッター)で3カ月間連載。初日から閲覧数が1万件近くまで伸び、「うちの子はご飯を食べない」「昼夜逆転で…」と不登校の子を抱える保護者から悩みをつづったメッセージが連日届いた。

「漫画が不登校の子を抱える保護者らが悩みを解決する糸口になれば」と自ら出版社に売り込んだ。加筆再構成した作品を21年6月~24年2月にウェブ漫画で連載したところ反響を呼び、書籍化につながった。

最上さんは「親の心身不調や生活の乱れは子どもにうつる。不登校は、親にも解決すべき問題があるというサインでもあり、親子で生活を見直せば、よい方向に進む」と呼び掛ける。1430円。A5判、160ページ。

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