小樽協会病院、産婦人科の体制強化へ 24年2月以降、市内で唯一出産可 常勤医増や他機関と連携

小樽協会病院の宮本憲行院長

来年2月以降、小樽市内で出産可能な唯一の医療機関となる小樽協会病院(宮本憲行院長、住ノ江1)が、受け入れ体制の拡充を急いでいる。今後、取り扱う分娩(ぶんべん)件数は現行の2倍の年間約250件ほどに増えると想定。産婦人科の常勤医や助産師の増員、高齢出産などリスクの高いお産に備えた札幌市内の医療機関との連携強化などを進めている。

市内では協会病院とともにお産に対応してきた「おたるレディースクリニック」(稲穂4)が同1月末での受け入れ終了を決定。同クリニックの分娩件数は年間約300件に上り、協会病院はこのうち4割前後について、同病院での受け入れが必要になると見込む。

このため協会病院は、産婦人科の常勤医を1増の計3人とする方向で医師派遣元の札幌医科大に要請。宮本院長によると、来春からの増員について「前向きな回答を得ている」という。また同クリニックの助産師4人程度が来年2月以降、協会病院へ移籍できるよう調整している。

分娩の取り扱い増に伴い、新生児の緊急対応が必要なケースの増加も想定し、小児科の常勤医を1増の4人体制とすることも検討。高度で集中的な治療や看護が必要な新生児の対応では、道立子ども総合医療・療育センター(札幌市手稲区)と新たに連携を図る。また妊婦の負担軽減のため陣痛から分娩、回復を同じ部屋で行えるLDR室の増設や、産婦人科病床の増床も視野に入れている。

協会病院は主に北後志6市町村(小樽、積丹、古平、仁木、余市、赤井川)の出産を扱うほか、リスクを伴うお産を受け入れる道の「地域周産期母子医療センター」に後志管内で唯一指定されている。

小樽市内の昨年の出生数は385人と初めて400人を下回り、20年前のほぼ3分の1にまで減少。出産環境の悪化は市内にとどまらず、管内の人口流出を加速させかねない。協会病院の宮本院長は「地域の周産期医療体制を守るため、できる限りの尽力をしたい」と話す。(河田俊樹)

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