子どもの発達相談、10年で3.8倍 帯広市 窓口整備が背景か

帯広市で子どもの発達に関する相談件数が増えている。相談しやすい環境が整ったことなどが背景にあるとみられる。支援が必要な未就学児も増え、保育現場からは「丁寧に対応するためには職員の数が足りない」という声が上がる。市内の私立保育園連絡協議会は市に支援の拡充を要望している。

支援が必要な未就学児増 職員不足も

帯広市の「こども発達相談室」は理学療法士や保育士ら計5人が「集団生活になじめない」「言葉や発達に不安がある」などの相談に応じている。相談件数は2021年度が909件で、相談室が設置された12年度の約3.8倍に増えた。22年度も増加傾向にあるという。

増加の背景について、市子育て支援課は「かつては身近な相談窓口がなく、社会的な理解もないため、周囲に言えなかったのではないか」とみる。保護者がインターネットですぐに子どもの発達について検索できるようになり、不安を感じやすくなったという面も考えられるという。

療育が必要とされる未就学児も増加。帯広市市民福祉部こども福祉室こども課によると、市内の認可保育所に通う支援が必要な子は20年度168人、21年度174人、22年210人だった。市はこうした子どもに対応するために職員を加配した場合、運営側に対して独自の補助金を出している。

市内で複数の保育施設を運営する社会福祉法人「慧誠(けいせい)会」の児童部門の藤原敦美統括所長は「情緒や知的の面で、気になる子どもが実感として増えている。(国の定めた)保育士の配置基準の人数だけでは、対応できない」と指摘する。

さらに保育施設の関係者は保護者への支援の必要性も訴える。「集団生活に課題があっても親が認識していない場合や、親に発達の課題がある場合があり、対応が難しい。子どもの問題だけではない」と強調する。

帯広市は現在、公立保育所の再編計画(2021~25年度)の全面的な見直しを進めている。市内の私立保育園連絡協議会は11月、計画見直しに伴い、特別な支援が必要な子どもへの対応をより充実させるよう、市に要望した。松山久子会長は「少子化という人数の問題だけではなく、一人一人の発達や成長に合わせた環境を整えるという視点で、再編計画の見直しを進めてほしい」と話した。

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