釧路市教育委員会、義務教育校6校新設決定 スクールバスや学童保育課題

釧路市教育委員会(市教委)は12月23日、12月定例会を開き、「釧路市がめざす学校のすがた基本計画」を正式決定した。小中学校を統合し、一つの校舎で9年間通して学ぶ「施設一体型」の義務教育学校6校の新設が決まり、釧路市の教育政策は大きく変化する。いち早く2026年度に開校する大楽毛、音別地区では、来年度から地区ごとの協議が始まり、義務教育学校制度のさらなる周知や通学への影響など、課題の検討が急がれる。

大楽毛、音別 来春にも準備協

計画は、学力低迷や不登校の増加などの課題解決のため小中一貫教育を推進し、26~31年度に6校の義務教育学校を開校する内容。市教委は今年6月に計画案のたたき台を公表。住民の要望を受け、9月公表の素案では小学校同士の統廃合を取りやめ、11月公表の正案では音別地区の義務教育学校の開校時期を1年前倒す修正を加えた。計画は22年度から10カ年で、中間年の27年度に検証し、見直しを検討する。

スムーズな小中連携を図るため、計画には全市的な学校区の変更も盛り込まれた。現在は一つの小学校の卒業生が複数の中学校に進学する複雑な区割りになっており、一つの小学校の全児童が同じ中学校に進学できるよう校区を調整。24年度から実施する。

3年後に義務教育学校開校を控える大楽毛と音別地区では来春にも、学校やPTA、地域住民による開校準備協議会が設置される。大楽毛小PTAの丹葉錦聰副会長は「これまでの説明会では義務教育学校のメリットばかりで、デメリットについても知りたい。問題点があれば解決策を建設的に議論したい」と要望。音別小PTAの加藤亮副会長は「音別中は1年生が2人だけで行事が寂しい。小中の統合で全体の人数が増えれば学校内が活性化する」と期待する。

通学が遠くなる児童生徒に対応したスクールバスの運行経路や、使用しない校舎の活用など今後の検討課題は多い。小学校近くの児童館で実施している放課後児童クラブ(学童保育)の運用も課題の一つ。中学校舎に小中が統合される地区では、放課後児童クラブを利用する小学生が、授業後に距離の離れた児童館まで移動する必要がある。市は、放課後児童クラブを校舎内で実施することも視野に検討を進めている。

市教委は学校選択制の導入についても今後検討を進める。校区外から義務教育学校への進学を希望する場合などを踏まえ、24年度までに制度設計する。

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