子宮頸がんワクチン、釧路市が周知進める 対象者に接種券、助成も

子宮頸がんワクチンを自費で接種した人への助成制度を周知する市のリーフレット

2013年から中止されていた子宮頸(けい)がん予防ワクチン接種の積極的な呼びかけ(勧奨)が今年4月に再開したことを受け、釧路市が周知を進めている。小学6年~高校1年の対象者の一部と、勧奨中止期間に対象だった世代を救済する「キャッチアップ接種」の対象者計約5600人に接種券を発送したほか、これまで自費で接種した人への助成を始めた。

子宮頸がん予防ワクチンは13年4月に無料で受けられる定期接種となったが、直後に健康被害の訴えが相次ぎ、厚生労働省は同年6月に積極勧奨を中止。安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、勧奨を再開した。

これを受け釧路市では、4月下旬に、対象者のうち標準接種年齢の中学1年と最終年齢の高校1年の女性に接種券を送付。接種券が送られていない人も、対象年齢であれば市や医療機関で接種券を受け取れる。

また、「キャッチアップ接種」の対象は17~25歳(1997年4月2日~2006年4月1日生まれ)で、3年間無料で接種できる。市は5月上旬に対象者全員に接種券を送付した。

市はキャッチアップ接種の対象者のうち、過去に自費で接種した人には、1回あたり1万5715円を上限に助成する。該当者は個別に市に申請する。

ワクチンは市内のクリニックなど18の医療機関で接種できる。市によると、今年4~5月の市内の接種回数は延べ104回で、昨年同期の約2倍。市は「分からないことや不安があれば、かかりつけ医や市に相談してほしい」と呼びかけている。

問い合わせは、接種に関する相談は市健康推進課0154・31・4524、接種後の副反応については道感染症対策課011・206・0359へ。(長谷川史子)

子宮頸がん予防ワクチン

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐワクチン。接種回数は3回で、定期接種で使われるワクチンは2種類ある。HPVは、女性の多くが「一生に一度は感染する」といわれるウイルスで、主に性的接触で感染。13年の定期接種開始後、痛みやしびれなどの症状を訴える人が相次ぎ、積極勧奨が中止された。21年の専門家会議で、接種後の症状と接種との関連性は明らかになっていないとし、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められた。健康被害があったとして、全国各地の女性らが国と製薬会社を相手に起こした集団訴訟が続いている。

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