急病の子、消防署員が病院へ 猿払で4月から 車使えぬ家庭支援

【猿払】宗谷管内猿払村は4月から、急病の子どもを保護者が病院へ連れて行けない場合、消防署員が無料で病院に送る「さるふつキッズ・サポート」を始める。運転免許を持たない村民らの要望で実現した取り組みで、消防庁によると、全国的にも珍しいという。

村では、国保病院まで最も遠い集落で片道約25キロ、路線バスで約40分かかる。民間のタクシー会社もない。主要産業は漁業や酪農業で、父親が仕事で自宅を空けることも多く、子どものいる家庭から「自家用車が1台しかない」「冬道の運転が心配」など、子どもを病院に送る際の不安の声が上がっていた。

稚内地区消防事務組合消防署猿払支署には、高齢者の自宅の除雪や草刈りなどのちょっとした困りごとを支援する「生活安全対策係」があり、送迎は同係の職員2人が主に担当する。高齢者の送迎用ワゴン車にチャイルドシートとジュニアシートを取り付けた。

対象は中学生までで事前登録や予約は不要。平日の病院外来受付時間のみで、必ず保護者や代理人が同乗する。同支署の久保田耕二支署長は「急な発熱など困った際は相談してほしい。利用者の意見を聞きながら制度を改善していきたい」と話している。(伊藤駿)

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