小樽の保育関係者 「園児にマスク」に戸惑い 感染予防理解の声も

手宮幼稚園でマスクを着用して職員と遊ぶ園児

厚生労働省が8日発表した新型コロナウイルスのオミクロン株対策で保育園児へのマスク着用を推奨していることについて、小樽の保育関係者らから戸惑いの声が上がっている。保育施設の園長は、感染予防のため「必要な措置」と理解を示しつつ常時着用は「限界がある」と吐露。いやがる子どもも多く、安全性に不安を覚える保護者も少なくない。専門家は子どもの成長度合いに応じて着用を判断するよう呼び掛ける。

厚労省は全国的な保育所での感染拡大を受け、園児のマスク着用を可能な範囲で一時的に推奨することを決定。対象年齢は明示しなかった。小樽市内でも保育施設で感染が拡大している。市によると年明けから9日までの間で、全面休園が10カ所、一部閉鎖が6カ所あった。

こうした現状を踏まえ、小樽市の認定こども園「手宮幼稚園」(梅ケ枝町)の泉田しのぶ園長は「おおむね3歳以上であれば、万が一マスクで息苦しくなっても意思表示できる。安全に気を配りつつ、子どもたちの感染を防ぐためマスク着用は必要だ」と厚労省の推奨決定に理解を示す。

園は2020年6月から全ての園児にマスクを着用させている。現在は満3~6歳の園児59人が通い、室内では食事や昼寝の時間以外は常に着用させる。外してしまう園児には職員が粘り強く話しかけ、着けさせる。ただし屋外では外させる。水遊びでマスクがぬれたり、運動で息が上がったりすると呼吸が苦しくなる恐れがあるためだ。泉田園長は「子どもが常にマスクを着用することは難しい」と話す。

市内の保育所に2歳の長女が通う主婦(32)は「保育所からはできるだけマスクを着用させて登園するよう求められているが、子どもが嫌がって着けられない」と嘆く。長女は物を口に入れるくせもあり「マスクをかまないか心配だ」と悩む。

長崎大の森内浩幸教授(小児科学)は「マスクは正しく着用しないと呼吸が苦しくなる恐れがあり、自分の意思でマスクを外せない子どもが無理につけるのは危険だ」と指摘。子どもの状況を踏まえて着用するか判断するよう助言する。

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