学校内の消毒作業/子供の検温カード点検 サポート・スタッフ活躍中

蛇口の消毒作業を行うスクール・サポート・スタッフの安藤園美さん

道南の小中学校で、教職員らの業務を補助する「スクール・サポート・スタッフ」が新型コロナ対策で力を発揮している。国の政策で配置が拡大し、膨大な消毒作業を主に担う。教職員の負担を軽減しているが、郡部では人材不足で確保できない例があるほか、コロナ収束後は減員される可能性もある。

道南の小中校に100人 コロナ対策で存在感

「おはようございます」。函館市立青柳小(須田晃至校長、212人)の玄関で、スクール・サポート・スタッフの安藤園美さん(55)が子供たちから「健康観察検温カード」を受け取り、チェックしていた。カードには自宅で測った体温が書かれており、37度以上の熱がないかなどを点検する。校内に新型コロナウイルスを持ち込ませないための水際対策の一つだ。

安藤さんは11月に採用され、月―金曜の週5日、午前8~10時の2時間勤務。主に校内の消毒作業を担い、トイレや水道の蛇口、階段の手すりといった共用部分をアルコールと使い捨てタオルで丁寧に拭いていく。蛇口だけでも60個以上。勤務時間はあっという間に過ぎる。安藤さんは「とにかく学校から感染者を出さないという思いです」と業務への責任感を語る。

同校の小棚木こずえ教頭は「教職員も教室内の消毒などを徹底しているが限界がある。とても助かっている」と感謝する。

スクール・サポート・スタッフは教職員の働き方改革の一環で導入され、道内では2018年度から希望校に配置している。特別な資格は不要で、時間給で週18時間を基本に、家庭への配布物や教材の作成補助といった業務を請け負ってきた。

そこへ、新型コロナウイルスの感染拡大で学校現場では消毒作業の負担が膨大に発生。国は、こうした作業を含む教育現場を支える人員として、スクール・サポート・スタッフを全国で2万600人増員するため38億円の補正予算を組んだ。道内では868人分の枠が設けられた。

渡島、檜山両教育局によると、両管内では配置が始まった18年度は6校で6人、19年度は10校10人だったが、今年12月現在で90校で100人に増えた。函館市では12月現在、市内42校で47人が勤務している。

ただ、一部では人材が集まらず、確保できない学校もある。北海道教育委員会の担当者は「都市部に比べて郡部ではなかなか人が集まりづらい」と明かす。また、契約は単年度で来年度はどうなるか不透明。本年度の採用は政策的措置のため、コロナ禍が収まった後は減員される可能性もある。

学校現場からは「継続的に雇用されるか不安を覚え、敬遠する動きもあるのでは」との声も上がる。函館市教委は「現場から好評を得ている。国や道には来年度以降の採用も検討してほしい」と要望している。(高橋智也)

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